覚え書:「子どもの本棚 満月見上げる、日常の幸せ [文]広松由希子(絵本評論家・作家)」、『朝日新聞』2016年10月22日(日)付。
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子どもの本棚
満月見上げる、日常の幸せ
[文]広松由希子(絵本評論家・作家) [掲載]2016年10月22日
空に満月を見つけると、うれしくなるのはなぜでしょう。赤ちゃんが夜空を見ています。バレエの練習帰りの女の子も、遠い山のクマの親子も見ています。「きょうはそらにまるいつき」。ゆっくりページをめくり、同じフレーズを繰り返していると、地球上のそれぞれが違う生活を送りながら、同じ満月を見上げていることの安らかな幸福感が広がります。
東日本大震災の年に出版された「あさになったのでまどをあけますよ」と対のようにも読める絵本。誰にも訪れる日常のよろこびを描いてきた作者です。
赤ちゃんの目に映る光景だけが、とびきりの空想力で描かれていて、祈りにも似た希望の光を感じます。「ごほうびのようなおつきさま」の月光浴をどうぞ。
−−「子どもの本棚 満月見上げる、日常の幸せ [文]広松由希子(絵本評論家・作家)」、『朝日新聞』2016年10月22日(日)付。
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http://book.asahi.com/reviews/column/2016102400002.html