覚え書:「憲法を考える 各党に聞く 公明 野党第1党巻き込み議論を」、『朝日新聞』2016年10月22日(土)付。

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憲法を考える 各党に聞く 公明 野党第1党巻き込み議論を
2016年10月22日


北側一雄公明党副代表=山本和生撮影
 公明党は、11月3日に公布70年を迎える日本国憲法が、優れた憲法で、多くの国民にも定着していると考えている。特に基本的人権の尊重、国民主権恒久平和主義の三つの理念は普遍の価値で、堅持しなければならない。

 その上で、70年前には想定できなかった課題について、時代に合わせた憲法へと書き加えていく「加憲」というアプローチでの憲法改正はありうるという立場だ。例えば、地球環境問題を前文などで規定していくことは、最高法規の理念として十分ありうると思う。

 7月の参院選の結果、「衆参両院で改憲勢力が3分の2を占めた」と言われるが、「改憲勢力」というくくり方自体に意味がない。自民、公明両党や日本維新の会との間で、どの条文をどのように変えるかについて、まだ全く一致点はないわけだから。ようやく国民投票法が整備されて、具体的な憲法改正論議ができるようになった。党内でも若い議員が増えたので、慎重に勉強を重ねていきたい。

 民進党自民党改憲草案を「撤回せよ」と言っているが、草案は野党時代の自民党がまとめた政治文書の一つだ。自民党も執拗(しつよう)にこだわっているとは見えない。しかも草案を丸ごと国民投票に付することは現実的にはあり得ない。そもそも3分の2を超える国会議員が賛同する条文案しか国民投票にはかからないので、全く心配ない。議論の中で個々に問題点を指摘していけばいい。

 例えば、大規模災害などの「緊急事態」に首相の権限を強化したり、国民の権利を制約したりする条項を新たに設ける必要性はないと思う。危機管理対応については法律で詳細な制度がすでに整備されているからだ。また、緊急時の国会議員の任期延長については、危機時こそ議会制民主主義を機能させるという観点から議論すべき課題だが、緊急事態の定義など難しい問題がある。

 憲法改正は与党、野党の枠組みではなく、少なくとも野党第1党を巻き込んで憲法審査会で丁寧に議論し、合意形成をはかることなしにはなかなか前に進んでいかない。大切な課題だが、政治問題化しない方がいい。いかに冷静に議論を進めていける環境や条件を作れるのか。それが年内の臨時国会における課題だと思う。(構成・南彰)

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 衆参の憲法審査会での議論が来月にも再開する。公布70年を迎える憲法にどう向き合うのか、国会に議席を持つ全党の責任者に聞く。
    −−「憲法を考える 各党に聞く 公明 野党第1党巻き込み議論を」、『朝日新聞』2016年10月22日(土)付。

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http://www.asahi.com/articles/DA3S12619814.html





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