覚え書:「文庫この新刊! 池澤春菜が薦める文庫この新刊! [文]池澤春菜(声優・コラムニスト)」、『朝日新聞』2017年01月29日(日)付。

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文庫この新刊!
池澤春菜が薦める文庫この新刊!
[文]池澤春菜(声優・コラムニスト)  [掲載]2017年01月29日
 
(1)『聖エセルドレダ女学院の殺人』 ジュリー・ベリー著 神林美和訳 創元推理文庫 1188円
(2)『眠れなくなる 夢十夜』 阿刀田高ほか著 新潮文庫 497円
(3)『すばらしい新世界〔新訳版〕』 オルダス・ハクスリー著 大森望訳 ハヤカワepi文庫 864円
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 今年最初の私のオススメは、ぐいぐい読めちゃう、でもじっくり深い3冊を。
 (1)個性豊かな7人の少女が暮らす寄宿学校で殺人事件が。犯人は誰なのか、庇護者(ひごしゃ)を失った7人の運命は。次から次へと巻き起こる騒動はまるでスラップスティック。女性が枠に閉じ込められていた時代、自分らしく生きられる場所を必死に求める少女たちが美しく、愛(いと)おしい。
 漱石の「夢十夜」をモチーフに現代の作家たちが一夜ずつ書いた(2)。「こんな夢を見た」から始まる10の掌編は、ホラーあり、ファンタジーあり、とバラエティーに富んでいる。夢という世界だからこそ描ける物語。
 (3)生きることに完璧に充足し、不安も悩みも孤独も嫉妬も隠し事もない、個々人が尊重され、また同時に完膚なきまでに非人間的な扱いを受ける世界。果たしてそれは幸せなのか。新訳で蘇(よみがえ)ったSF史に残る問題作。今だからこそ読むべき1冊。私はこれを、ディストピア小説と言い切ることはできない。
    −−「文庫この新刊! 池澤春菜が薦める文庫この新刊! [文]池澤春菜(声優・コラムニスト)」、『朝日新聞』2017年01月29日(日)付。

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http://book.asahi.com/reviews/column/2017012900005.html


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