覚え書:「AV強要、女性「もう消えたい」 支援団体にSOS増加」、『朝日新聞』2016年12月27日(火)付。

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AV強要、女性「もう消えたい」 支援団体にSOS増加
岡田匠2016年12月27日

若草プロジェクトの研修会。村木厚子さん(左から2人目)もグループに加わり、AV被害の支援方法を語り合った=京都市右京区の寂庵

 若い女性がアダルトビデオ(AV)への出演を強要される被害が、あとを絶たない。言葉巧みに誘われて出演の契約書にサインさせられ、断れば違約金を求められ、追い込まれてしまうケースが目立つ。支援団体は「一人で悩まず、すぐに相談を」と呼びかけている。


■寂聴さんら支援へ研修会
 2009年に結成された支援団体「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS〈パップス〉)」に寄せられた相談件数は、14年に36件、15年62件、16年(11月まで)93件と増えている。深刻な相談を伝えたあと、自殺した女性もいるという。なかには、男性の同性愛者向けのビデオに出演を強要された男性の相談もあるという。
 AV被害の実態を調べようと、警察庁は今年、全国の警察に寄せられた相談件数を初めて集計し、11月に公表した。それによると、6月までの2年半で22件にのぼる。
 被害に苦しむ女性を救おうと、若い女性の支援に取り組む「若草プロジェクト」が今月11日、京都市で研修会を開いた。
 プロジェクトの呼びかけ人代表は、僧侶で作家の瀬戸内寂聴さん(94)と元厚生労働事務次官村木厚子さん(60)。各地で活動する支援者ら約50人が参加し、PAPSがAV被害の実例を紹介した。
 都内の大学に通う女性は新宿駅で、モデルのスカウトマンと名乗る男に声をかけられた。話を聞くだけならと、写真スタジオに行くと、学生証のコピーをとられた。水着や上半身裸の姿を撮られ、「人気アイドルも通った道だから」とAV出演の契約書にサインさせられた。
 女性は、いったん家に戻り、3日後に電話をし、撮影を断った。すると、「違約金を払え。親や学校に知られてもいいのか」と脅された。さらに「断るなら事務所に来て」と言われ、行くとその場でレイプされ、撮影された。その後も怖くて抵抗できず、何度もAVに出演させられた。女性は相談に来たとき、「死にたい、苦しい」「もう、消えたい」と訴えていたという。
 村木さんは「AVの被害は驚くほど深刻。児童ポルノを規制する法律はできたが、AV被害の法整備は不十分で、防ぐ手立てを早急に整えなければいけない」と指摘した。
■相談員「オレオレ詐欺に似ている」
 PAPSの相談員、金尻(かなじり)カズナさん(35)によると、若い女性が契約書にサインしてしまうのは、「オレオレ詐欺の被害に似ている」という。巧みな言葉にだまされ、高齢者は金をとられ、若い女性は性を狙われる。いったんサインしてしまえば、AV事業者から「契約したでしょ、仕事」と迫られ、撮影に応じてしまう。
 だが、契約書に有効性があるかは別問題。相談があれば、違約金を払わないという書面を支援団体がAV事業者に送り、契約自体を取り消すこともあるという。
 裁判でも、強引な契約の効力を認めない判断が出ている。出演を拒否した女性に対し、AVプロダクションが「契約違反だ」と2460万円の違約金などを求めて提訴。東京地裁は昨年9月の判決で、「本人の意に反して強要できない性質の仕事だ」として、プロダクション側の請求を棄却した。
 契約書のほかに、インターネットに画像や動画が残るという新しい人権侵害も起きている。支援団体は、ネットの事業者に動画や画像の削除を求め、出回っているAVの販売の差し止めにも取り組む。
 金尻さんは「契約書にサインしてしまったからとあきらめるのではなく、支援団体に相談することで被害回復ができる場合が多い。何もしないで孤立して苦しまず、相談にきてほしい」と呼びかける。
 PAPSへの相談は、メール(paps@paps−jp.org)か電話(050・3177・5432)で。
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 若草プロジェクトはAV被害のほか貧困、虐待、ネグレクト、DV、薬物依存などの相談もLINEで受け付ける。時間は、月曜と土曜の午後1〜7時、水曜午後5〜7時。詳細は団体ホームページ(http://wakakusa.jp.net/別ウインドウで開きます)。(岡田匠)    −−「AV強要、女性「もう消えたい」 支援団体にSOS増加」、『朝日新聞』2016年12月27日(火)付。

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http://www.asahi.com/articles/ASJDP7S7ZJDPPTFC01Q.html





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