日記:あんときのデジカメ CASIO EXILIM EX-Z3 2003年 エントリークラスの「雛形」になったカシオ渾身のコンデジ

■ EXILIMデジタルカメラのスタンダードに位置づけるほど売れたカシオ渾身の機械
前回ご紹介したCASIOのEXILIM EX-S2(2002年)に引き続き、今回もCASIOのデジタルカメラをご紹介します。今回は、翌年に発売された光学3倍ズームのEXILIM EX-Z3です。僕はEX-S1、S2の「カメラの概念そのものを覆す」スマートな筐体と手軽さで、2つのカメラは爆発的に売れたという印象があるのですが、カシオによれば、EXILIMデジタルカメラのスタンダードに位置づけるほど売れたのは、EXILIM EX-Z3とのこと。
こちらもS2とほぼ同時期に購入し(バッテリーは同じタイプを使用)、併用してみました。動作確認のみのUSEDで購入し、1日で地面に落としてしまったので、CCDが若干調子が悪く、時々ヘアラインが画像に写り込んでしまいます(涙

■ エントリークラスのデジタルカメラの「雛形」
さて、先に「EXILIMデジタルカメラのスタンダードに位置づけるほど売れた」と表現しましたが、パンフォーカスでズームもマクロ撮影もできないS2の弱点を向き合い、カメラらしいカメラとして登場したのがEX-Z3。何が変わったかといえば、レンズが光学3倍ズーム(35mmフィルム換算約35−105.0mm)になったこと、最短6センチ(広角端)でのマクロ撮影が可能になったこと、そしてこの2003年には珍しい大型の液晶ディスプレイ(2型)が搭載されたこと、そしてクレードルとの組み合わせで充電やPC、テレビとの連動が可能になったこと……。

現在のデジタルカメラの水準からすれば「当たり前」のように思えることが、名刺サイズのデジタルカメラで、かつエントリークラスのデジタルカメラとして「登場」したことによって、高性能だけどめちゃくちゃ高価なデジタルカメラでもない、そして安価だけど使いものにならないデジタルカメラでもない、誰もが手軽に本格的な撮影を「楽しむ」ことのできるカメラをカシオが送り出したことによって、以後のエントリークラスのデジタルカメラの「スタンダード」が誕生した……。大げさな話に聞こえるかもしれませんが、その意味では、このEX-Z3の登場は驚異的だったのかも知れません。

■ 2003年モデルとしては脅威としか言いようのない2型大型液晶
では、簡単にスペックをおさらい。沈胴式の光学3倍ズームレンズは実はPENTAX製(smc PENTAX LENS)。OPTIOのSシリーズに搭載されているスライディングレンズ。なるほど「タバコケースに収まるようなデジカメを作る」ことを目的に開発されたペンタックスのレンズを搭載しているとおり、手元にS4iと比較するとほぼおなじ大きさ。撮像素子は、1/2.5型正方画素原色CCDで有効画素数は320万画素と控えめ。当時のエントリークラスのデジタルカメラでも400万画素をぼちぼち超える機種が出始めた頃なので、この「控えめ」なのは、おそらく設定価格によるものでしょうかね。レンズの開放f値がf2.6と明るいので使いやすいといえば使いやすいのですが、ボケ具合はやや煩わしい感。センサーの小型さと画素数が相まって、デジタルズームは使いものになりません。

ただ全体としては、大型液晶のおかげで、写真撮影に関しては、シャッターチャージにはその時代の「スローミー」さはあるものの、軽快に撮影が可能。名刺サイズのコンパクトデジタルカメラでもはや光学ファインダーを使うなどとは老眼の私にはきついものがあるのですが、この液晶のおかげで、同時代の高性能な他機種よりも使いやすいことには驚きました。色使いは凡庸でややノイズが目立つものの、エントリークラスに要求するのもその分を超えた過度な要求というものなので、よく言えば、日常生活のスケッチには必要十分というところでしょうか。

いずれにしても、3倍ズーム、マクロ対応、広角端で35mmを維持(当時は中級機でも広角端が38mmとかざらにありますので、これは大事)、かつ明るいレンズ。エントリークラスの「嚆矢」としては十分ではないでしょうか。「お前、それ褒め過ぎだろう」とのおしかりを頂戴しそうですが、考えても見て下さい。今でこそカシオはコンパクトデジタルカメラ市場の一角に強固な足場をもつ「カメラメーカー」といっても過言ではありませんが、デジタルカメラ黎明期、今より多いカメラメーカーとシノギをけずるなかで、開発から撤退することなく(老舗カメラメーカーですら相次いで撤退した訳ですから)、現在も開発販売していることを勘案するならば、「褒め過ぎ」ということはないのでは?

ということで以下作例。
オート撮影、ISO100、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は2048×1536で保存。筐体はiPhone6sで撮影。



↑ 広角端35mmで撮影(A)。


↑ (A)を光学望遠端105mmで撮影。


↑ (A)をデジタルズームで12倍にしてみると、キビシイ。


↑ 広角端35mmで撮影(B)。


↑ (B)を光学望遠端105mmで撮影。


↑ (B)をデジタルズームで12倍にしてみると、キビシイ。


↑ 2003年のコンデジとしてはとにかく大きくて見やすい2型液晶。


↑ 手前がEXILIM EX-Z3、奥がPENTAX Optio S4i 同じタイプのレンズが組み込まれている。

カシオ デジタルカメラ オフィシャルWEBサイト | 製品情報 | EX-Z3

Playing old digital camera CASIO CASIO EXILIM EX-Z3 2003 | Flickr



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