覚え書:「文庫この新刊! 池澤春菜が薦める文庫この新刊!」、『朝日新聞』2017年08月27日(日)付。

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文庫この新刊! 池澤春菜が薦める文庫この新刊!

文庫この新刊!
池澤春菜が薦める文庫この新刊!
2017年08月27日
 (1)『行き先は特異点(年刊日本SF傑作選)』 大森望日下三蔵編 創元SF文庫 1404円
 (2)『三惑星の探求(人類補完機構全短篇3)』 コードウェイナー・スミス著 伊藤典夫酒井昭伸訳 ハヤカワ文庫SF 1512円
 (3)『ガラスの靴』 エリナー・ファージョン著 野口百合子訳 新潮文庫 562円
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 SFが好きだなぁ、としみじみ思う。想像のエンジンに点火し、この世界の向こう側を見せてくれる作品に出会うと、心底幸せになれるのだ。
 (1)は毎年1冊ずつ出ている日本SF短編傑作選の2016年版。個人的お気に入りは全てと言いたい所だが、あえて選ぶなら高山羽根子「太陽の側の島」、上田早夕里(さゆり)「プテロス」、酉島伝法(とりしまでんぽう)「ブロッコリー神殿」。信頼できる編者によって編まれた、豊かさを増す日本SFの鳥瞰図(ちょうかんず)。
 (2)は伝説的なSF作家による3冊組みの短編集の完結編。〈人類補完機構〉という壮大な叙事詩にちりばめられた物語は、もちろんこれだけでも成立している。ヒトがヒトであるために必要なものは、生きる意味とは。詩的で繊細、圧倒的なイメージ、心が震える美しさ。
 (3)は今だからこそ読みたい童話。児童文学の名手が紡ぐシンデレラは、知っているようで知らない新しい手触り。美しいものと善きものをつめこんだ、読み終わると微笑(ほほえ)みが零(こぼ)れる物語。
 (声優・コラムニスト)
    −−「文庫この新刊! 池澤春菜が薦める文庫この新刊!」、『朝日新聞』2017年08月27日(日)付。

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http://book.asahi.com/reviews/column/2017082700006.html


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ガラスの靴 (新潮文庫)
エリナー ファージョン
新潮社 (2017-05-27)
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