覚え書:「折々のことば:815 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年07月16日(日)付。
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折々のことば:815 鷲田清一
2017年7月16日
悲しいことを泣き叫ぶ以外の方法を
もっている生き物に生まれたかった
(最果〈さいはて〉タヒ)
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悲しいから泣いている? そんな解釈はひもじすぎる。悲しみはもっと艶(つや)やかに滲(にじ)むもの。「赤い色」に惹(ひ)かれて抽象的な絵を描く人がいるように、「りりらん」という音の響きに誘きに誘われて不思議な文章を書く人がいるように。「もやもやしたものをもやもやしたまま」手渡そうとする言葉は、次行へのありきたりの予感をたえず裏切る。詩集『死んでしまう系のぼくらに』から。
−−「折々のことば:815 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年07月16日(日)付。
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http://www.asahi.com/articles/DA3S13039473.html