覚え書:「【書く人】過疎地に生活つくる 『小水力発電が地域を救う』 全国小水力利用推進協議会事務局長・中島大さん(56)」、『東京新聞』2018年02月04日(日)付。
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【書く人】
過疎地に生活つくる 『小水力発電が地域を救う』 全国小水力利用推進協議会事務局長・中島大さん(56)
2018年2月4日
「知り合いの土建会社の方には、よくぞ書いてくれたと言われました」。本書は、環境に配慮したエネルギー源として各地で設置の進む小水力発電所について予備知識のない人でも気軽に読める入門書。注目されているのは、山村で営業する土建会社の潜在的な力を評価して「小水力発電で生き残りを」と説く点だ。
理屈はこう。山間地は、食料や燃料を運ぶ道、通勤や通学、病人を搬送する道が限られている。その生命線が土砂崩れや大雪で閉ざされたとき、復旧を担うのは地元の土木業者だ。山間地域には、その土地で営む土木業者がなくてはならない存在だ。
小水力発電所の建設にも、堰(せき)や水路などを造る土木工事が欠かせない。土木業者が設備の運営にも参画すれば、災害が起きても素早い対応が可能となる。地域の企業として培った経営感覚や住民をまとめる力量にも期待できるというのだ。
そう提言する本人は、山村ではなく東京都三鷹市の出身。小水力発電にひかれたのは、物理学を志して入学した東京大の二年生のとき。静岡県藤枝市で“反原発のシンボル”として造られた水車に出合ったのがきっかけだ。
「東京の人間は、お金がなければ何もできない。山間地には生活圏内にある木や石を使って、生きることに必要なことは全部できるというお年寄りがいた。ショックを受けちゃって。すごい世界があるんだなと」
現在は非営利の団体「全国小水力利用推進協議会」の事務局長。小水力発電のコンサルタント業務で収入を得る一般社団法人「小水力開発支援協会」の代表理事も務める。ボランティアをビジネスに利用している−と思う人がいるかもしれない。本書では「後ろ指を指されない程度に注意しながら、進めています」とつづる。そもそも、エネルギーや環境をテーマに経済を動かす取り組みをしてきた人なのだ。
文中で小水力発電導入の事例に挙げた岐阜県郡上市の石徹白(いとしろ)地区は、白山連峰の南の豪雪地帯。過疎化が進んでいたが、導入が成功して活気を取り戻し、移住者も増えた。「過疎地は開発を待つ土地。自分の役割や仕事を見いだせるフロンティアなんです」と語り、小水力発電が地域づくりの“ともしび”になるよう願っている。
東洋経済新報社・一五一二円。 (谷知佳)
−−「【書く人】過疎地に生活つくる 『小水力発電が地域を救う』 全国小水力利用推進協議会事務局長・中島大さん(56)」、『東京新聞』2018年02月04日(日)付。
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東京新聞:過疎地に生活つくる 『小水力発電が地域を救う』 全国小水力利用推進協議会事務局長・中島大さん(56):Chunichi/Tokyo Bookweb(TOKYO Web)