折々のことば:907 鷲田清一
2017年10月19日
それなしで人が生きていけないものについて考えるのが、哲学です。
(森口美都男)
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カント哲学の研究者だったわが恩師が、学生を諭す時によく口にした言葉。それなしで生きていけないものには、家族や社会、さらに愛や掟(おきて)や信仰といったものもあろう。私は「知」の根拠を問うことから始めたが、やがて衣服も間違いなくその一つだと思い、一時期その主題にのめり込んだ。別の教授からは「世も末だ」と言われたが、私は師の教えを守ったと今も思っている。
−−「折々のことば:907 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年10月19日(木)付。
折々のことば:907 鷲田清一:朝日新聞デジタル