もともと地上には、道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。





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青年たちの心意気に喝采 
主婦(大阪市

 今年は東日本大震災に始まり、世界各地で大規模な自然災害が起きました。亡くなられた方や被災された方のことを思うと胸を痛める毎日です。
 そんななか、一つの記事が目に留まりました。大震災で被災した宮城県石巻市の市民らが深刻な洪水被害に遭っているタイの人たちに「がんばれ タイ!」とエールを送る応援ビデオがタイで話題になっているという内容です。
 震災の際にタイの人たちが支援してくれたことを知った日本の青年たちがお返ししようと作成したとのことで、私も動画投稿サイトの「ユーチューブ」で見てみると、感動的な内容でした。どんな災害に見舞われても、今まで積み上げてきた心の宝は壊すことはできない、必ず乗り越えていこうという青年たちの心意気に喝采を送りました。そして私自身、どんな困難にも絶対負けないで乗り越え、周りの人たちに励ましを送れる人間に成長しようと誓いました。
    −−「みんなの広場:青年たちの心意気に喝采」、『毎日新聞』2011年12月20日(水)付。

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関連エントリ1 「心の財は絶対に壊れない」/【Thailand floods】Japan for Thailand - Essais d’herméneutique
関連エントリ2 希望こそ太古より聳える巌のごとくあれ! 足下を掘り世界と連帯する詩心に関する一考察? - Essais d’herméneutique




昼食を取ってから、新聞のいわゆる「声」の欄を読んでいてひとつ驚きました。

火が次々に灯じられていくというのはまさにこのことでしょうか。

先に関連エントリのリンクをはっている通りブログでも何度か紹介させていただいておりますが、動画「心の財は絶対に壊れない」。

3月の震災のおり、タイから真心の支援を頂戴したのは記憶に新しいですが、秋にはそのタイが洪水の被害。「あの時の真心を忘れないよ」という東北の被災地からタイへ向けたメッセージを日本の学生たちが作ったというエピソードです。

「心の財は絶対に壊れない」/【Thailand floods】Japan for Thailand」


授業でも紹介させていただき、この動画とエピソードから、「自分なんて無力で何もできない」ってややもすると問題の大きさに圧倒されそうになる学生たちに勇気をいただきました。

ひとつの灯火がつぎの灯火をともしていく……そのことを実感したのですけど、それがまたこういう形で紹介されるというのは非常に「希望」がもてるというものです。

冷温停止してないのに「冷温停止」だの、収束していないのに「収束宣言」だの、嘘八百を垂れ流すバカは相手にしてもしょうがないのですし、その非は断固として責めていかないといけません。しかし、そのチャンネルだけに「お任せしてもはじまらない」のもこれまた事実。

であるならば一喜一憂することなく、目の前の人から「希望」をともしていく……ここにつきますねぇ。


「どんな災害に見舞われても、今まで積み上げてきた心の宝は壊すことはできない、必ず乗り越えていこうという青年たちの心意気に喝采を送りました。そして私自身、どんな困難にも絶対負けないで乗り越え、周りの人たちに励ましを送れる人間に成長しようと誓いました」


いやぁ、負けていらねぇ!!!




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 希望ということに考え及んだとき、突然、私はギクッとなった。閏土が香炉と燭台を望んだ際、私は、彼の相変わらずの偶像崇拝ぶりを思って、いつになったら忘れる気かと、心ひそかに彼をわらったのであったが、いま私のいう希望も、私自身の手製の偶像ではないだろうか。ただ彼の願望は手近であり、私の願望は遙かなだけである。
 ぼんやりした私の眼に、見はるかす海辺の緑の砂地がうかんでくる。頭上の紺碧の空には、一輪の金色の丸い月がかかっている。思うに、希望とは、もともとあるものだともいえぬし、ないものだともいえない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には、道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。
    −−魯迅竹内好訳)「故郷」、『魯迅選集』第一巻、岩波書店、一九五六年、84−85頁。

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