立法者と−−法律を施行する者、訓練の教師と−−訓練をうけて冷酷に厳正になった者たち。
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七一八(658ー59)
君たちはみな、人を殺し、ないしはたんに鞭打つだけすらの、ないしは云々するだけすらの気力をもちあわせてはいない−−、しかるに国家という巨大な機械は個々人を圧倒し、そのため個々人をは、おのれのなすことに対して責任を負うのを拒否する(服従、誓約、その他)。
−−人間が国家に奉仕して実行するすべてのことは、人間の本性に背いている。
−−同様に、人間が国家における未来の奉仕に関して学ぶすべてのことは、人間の本性に背いている。
このことは分業によって達成される(そのため誰ひとりとしもはや全責任を負う者はない)。すなわち、
立法者と−−法律を施行する者、
訓練の教師と−−訓練をうけて冷酷に厳正になった者たち。
−−ニーチェ(原佑訳)「権力への意志 下」、『ニーチェ全集』第13巻、ちくま学芸文庫、1993年、242頁。
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国家や共同体……それからまあ会社なんてものも加えていいでしょうし、家族ってぇのもいれてもいいでしょう……そのために死んだ人間は数え切れないぐらい存在するが、ひとりひとりの人間のために死んだ国家や共同体は恐らく存在しない。
声高に「ために」を高調する人はそのことを理解しているのだろうか。
立法者と−−法律を施行する者、
訓練の教師と−−訓練をうけて冷酷に厳正になった者たち。
口角泡を飛ばして「ために」「死ね」とか言われても、言っているひとそのものが前者を「気取っている」つもりであっても、その内実は後者にしかすぎないのにね。
ニーチェ全集〈3〉哲学者の書 (ちくま学芸文庫)
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