覚え書:「今週の本棚・新刊:『3・11後の多文化家族』=川村千鶴子・編著」、『毎日新聞』2012年04月08日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『3・11後の多文化家族』=川村千鶴子・編著
毎日新聞 2012年04月08日
(明石書店・2625円)
500キロの牛肉でステーキを被災者に振る舞った日系ブラジル人、スープカレー300人前を調理したビルマ(ミャンマー)難民など、外国人ボランティアが東日本大震災で被災した東北の地で熱く燃えた。自らも被災した外国人花嫁が地域住民を支援する姿もあった。こうした支援活動を調査し、執筆したのも、多くは在日外国人の研究者だった。
そうした多様な視点とエピソードが本書には詰まっている。日本人が忘れていた素朴な思いやりや心遣いを、改めて感じさせてくれる。
大震災の直後から、在日外国人の帰国ラッシュが始まり、3月ひと月に前年同月の2倍の31万人が出国した。その一方で「日本に寄り添いたい」と多くの外国人がとどまる決意をした。大震災は日本人同士だけでなく、日本人と在日外国人の間にも、「家族のような」新たな絆をもたらした。国籍を超えた「家族のような」人と人の結びつきだ。
日本には200万人を超える外国人が暮らしている。「多文化共生社会」をどう築くか、がこれからの大きな課題となっている。本書は、将来の日本のあるべき社会の姿を示唆している。(喬)
−−「今週の本棚・新刊:『3・11後の多文化家族』=川村千鶴子・編著」、『毎日新聞』2012年04月08日(日)付。
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http://mainichi.jp/feature/news/20120408ddm015070038000c.html