書評:粕谷一希『内藤湖南への旅』藤原書店、2011年。
京大東洋史学の泰斗、内藤湖南膨大な業績から、我々は何を学ぶことができるのか?
私事ですが吉野作造研究に従事する身として吉野の中国論を読む上でスルーできないのが内藤湖南。日本東洋学における富士の如く霊峰にして泰斗ながら忘れ去れた思想家として定位しているのが実状だろう。
吉野研究の絡みで、本書を手に取ったが、読んでみて面白かった。
本書は、内藤の人生と学問、そして彼の生きた時代の精神と、関連する人物や後継といった群像を温かい敬意をもって精緻に描いた一冊。
内藤湖南の魅力とは何か。
「古代から清朝衰亡までの全体を実感をもって押さえただけでなく、有史以来の歴史意識の発生と発展の過程を丹念に辿るという壮挙を成し遂げた歴史家」。
定番ですがこういうのもあります。
山根幸夫「日本人の中国観 : 内藤湖南と吉野作造の場合」、『東京女子大學論集』(19,1968)。
CiNii 論文 - 日本人の中国観 : 内藤湖南と吉野作造の場合