吉野作造研究

日記:上杉慎吉と山県有朋

- 山県の国家思想と上杉の国家思想は基本的なところで完全に一致(天皇の権力を絶対的なものとみなし、それへの絶対的忠誠を誓う天皇制絶対主義。政党政治を国体に反する絶対悪とみなす立場。社会主義、労働運動などを断固排撃する立場に立ち、それらの運動…

日記:国民の意向とは正反対に疾走するアベ政治をアシストする南元町の傀儡たちが正気であるなら吉野作造の言葉に関心を持って欲しい

「吉野にとってのデモクラシーとは、単なる政治制度の問題ではなく、人々が互いの人格を尊重しあうことで社会を成り立たせようとする、言うなれば世界の根本原理でした」。キリスト教信仰によって燻発された吉野の普遍主義。国内外で内向き志向になる現在、…

吉野作造研究:民本主義と軍国主義=新渡戸稲造

- 両主義の衝突を憚る (「我国の現在及将来に於ける軍国化と民本化の二大運動の批判」と題するアンケートへの寄稿 中央公論 大正七年七月) 軍国主義並に民本主義とは、多分ミリタリズムとデモクラシーの意であらう。この二つを相対峙して反対の主張を表す…

覚え書:「「戦争の世紀」研究 現代史と国際政治の視点から/12 太平洋問題調査会 日本外交の苦闘刻む」、『毎日新聞』2016年03月31日(木)付。

- 「戦争の世紀」研究 現代史と国際政治の視点から/12 太平洋問題調査会 日本外交の苦闘刻む毎日新聞2016年3月31日 東京夕刊1927年のIPR第2回ハワイ会議への出発を前に、記念撮影する日本IPR代表団と渋沢栄一・評議員会会長(左から3人目)ら…

覚え書:「今週の本棚・加藤陽子・評 『吉野作造政治史講義−矢内原忠雄・赤松克麿・岡義武ノート』=吉野作造講義録研究会・編」、『毎日新聞』2016年03月13日(日)付。

- 今週の本棚 加藤陽子・評 『吉野作造政治史講義−矢内原忠雄・赤松克麿・岡義武ノート』=吉野作造講義録研究会・編毎日新聞2016年3月13日 東京朝刊 (岩波書店・8100円)一党優位体制を許さなかった民本主義者 100年以上も前の吉野作造の講義録を読…

吉野作造研究:吉野作造の天皇観

- 吉野作造の天皇観 次に、吉野作造の天皇観の特質について考えてみたいと思います。吉野は天皇制をどういうふうに考えていたか。明治の末年から大正期にかけて、美濃部達吉のいわゆる天皇機関説をめぐる上杉慎吉との論争が有ります。美濃部が自己の憲法論を…

覚え書:「各駅停話:573東北新幹線:12 古川 人の世に逆境なんてない」、『朝日新聞』2016年02月01日(月)付。

- 各駅停話:573東北新幹線:12 古川 人の世に逆境なんてない 2016年2月1日(写真キャプション)「デモクラシーの原点に立ち返る場所であり続けたい」と館長の大川真さん=宮城県大崎市の吉野作造記念館 マンホールの蓋(ふた)を研究している人と一緒…

覚え書:「吉野作造、グローバルな目 1世紀前の東大講義、学生ノートから再現」、『朝日新聞』2016年02月01日(月)付。

- 吉野作造、グローバルな目 1世紀前の東大講義、学生ノートから再現 2016年2月1日三谷太一郎さん 大正デモクラシーの代表的思想家で、「民本主義」を唱えた吉野作造が東京帝国大学で行った講義が、当時の学生のノートから初めて再現された。欧州でデモクラ…

吉野作造研究:国民参加と代議制とのバランスを説き、多数意見が少数派の『自由』を封殺することを警戒した吉野作造の議論を今、引照する意味

「民主主義」が見つめ直された今年、「この時期に改めてデモクラシーについて考えてほしい」 「国民参加と代議制とのバランスを説き、多数意見が少数派の『自由』を封殺することを警戒した吉野の議論」を今こそ、という話ですが、ひとつだけ留意したいと思い…

日記:吉野作造による政治の非権力化の追求

- 吉野は政治を人類の社会生活を維持し発展させるために、それを統制し秩序づける「客観的支配関係」として意味づけ、それによっては実現されない人類の自由への要求との不断の緊張によって政治は進歩してゆくものととらえる。そして秩序と自由(あるいは権…

吉野作造研究:新公開資料展 唐紹儀書額「舒巻忘食」 吉野作造記念館

吉野作造記念館様(宮城県大崎市)よりご案内頂きましたのでご紹介します。新公開資料展 唐紹儀書額「舒巻忘食」 公益財団法人朝日新聞文化財団助成事業唐紹儀(1860〜1938)は清末から革命期の中国で活躍した政治家で、中華民国の成立と共に同政府国務総理…

吉野作造研究:「こちら特報部:『女工哀史』誕生支えた 女工快史 筆者の『妻』高井としを物語」、『東京新聞』2015年06月14日(日)付。

- こちら特報部 「女工哀史」誕生支えた 女工快史 筆者の「妻」高井としを物語紡績工場の内実伝える 印税渡らなかったが… 貧乏と闘い人生切り開く 日雇い労働者の組合組織 明治、大正時代の紡績工場の過酷な労働実態を記録した「女工哀史」が発刊から九十年…

吉野作造研究:「戦後70年みやぎ:吉野作造と鈴木安蔵 2人の交流史、貴重な史料で 大崎で企画展、はがきなど109点展示 /宮城」、『毎日新聞』2015年06月13日(土)付。

- 戦後70年みやぎ:吉野作造と鈴木安蔵 2人の交流史、貴重な史料で 大崎で企画展、はがきなど109点展示 /宮城 毎日新聞 2015年06月13日 地方版(写真キャプション)展示されている鈴木安蔵の直筆原稿「吉野作造先生の事ども」の一部=大崎市の吉野作…

日記:内村鑑三と吉野作造に対する誤解について

キリストの幕屋的な立場から、ことさら内村鑑三の二つのJを取り上げ、吉野作造の普遍志向を「西洋かぶれ」って批判する流れ。この誤解、百年ずーっと続いている。内村の二つのJはネトウヨがありがたがる「この世のもの」をすべて無効化することで成立するし…

吉野作造研究:吉野作造記念館2015年度前期企画展 戦後70周年記念「日本国憲法の誕生と吉野作造」

催しのご案内吉野作造記念館2015年度前期企画展 戦後70周年記念 日本国憲法の誕生と吉野作造期間:2015年6月7日(日)〜8月2日(日) 会場:吉野作造記念館 企画展示室 大正デモクラシーの指導者・吉野作造の最後の弟子は、憲法学者・鈴木安蔵…

日記:白虹事件と現在の朝日バッシング 吉野作造の抵抗から見えてくるもの

- 白虹事件と朝日の「転向」 朝日バッシングの高まりと広まりは、大方の予想を超えるものがあった。ネットなどでは匿名の集団バッシングが起こり、大衆の鬱憤を晴らしているかのようでもあった。 今回の事件を通して思い込されるのは、一九一八年8月に起き…

覚え書:「特集ワイド:いま、井上ひさしを読む 存命なら何を語るのか」、『毎日新聞』2015年05月11日(月)付夕刊。

- 特集ワイド:いま、井上ひさしを読む 存命なら何を語るのか 毎日新聞 2015年05月11日 東京夕刊(写真キャプション)時代が変わろうとしている今、井上ひさしさんは何を語るのだろうか=東京都千代田区の上智大学で2002年4月22日、山下浩一撮影 作家…

日記:吉野作造記念館紀要『吉野作造研究』第11号、2015年4月。

吉野作造記念館紀要『吉野作造研究』第11号(2015年4月)に、企画展「吉野作造とキリスト教」でのオープニング講演録(2014年5月)を寄せました。吉野のキリスト教信仰は「楽天的人間観」と一蹴されますが、非常に豊かなものです。ご高覧頂ければと…

日記:「吉野作造:しのぶ 講演と朗読会 仙台で29日 /宮城」、『毎日新聞』2015年04月26日(日)付。

- 吉野作造:しのぶ 講演と朗読会 仙台で29日 /宮城 毎日新聞 2015年04月26日 地方版 民本主義政治学者、吉野作造(1878〜1933)の事跡を調査する市民団体「吉野作造通信を発行する会」(仙台市太白区)が29日、「吉野作造をしのぶ朗読会」を開…

日記:関東大震災時の朝鮮人虐殺のトリガーとなった要因

- 関東大震災時の虐殺 二三(大正一二)年九月一日、関東地方を襲った大地震とそれによる大火災の中で、数多くの朝鮮人が日本の軍隊・警察、さらには日本人自警団などによって虐殺される事態が生じた。「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」「爆弾を持って襲撃し…

吉野作造研究:吉野作造と袁世凱

- ここまであえて避けてきたこと、袁世凱の人物を少し述べてしめくくりたい。評伝なのだから、それを真っ先につかまえたうえで、構成を組み立てるのが、むしろ正攻法なのだろう。しかし、ふつつかな歴史家には、とても無理な芸当、知りうる事蹟の客観的な復…

日記:「賀川豊彦と吉野作造 貧しき者、弱き者のために」展 於・賀川豊彦記念松沢資料館、4/28〜6/27 開催告知

- ともにキリスト教者だった賀川豊彦と吉野作造は、当時の未熟な資本主義社会の中で困窮する人々を助けるため、様々な社会事業に取り組みました。日本のセツルメント活動の草分け的存在となった2人の事跡から、大正デモクラシーの中に芽生えた相互扶助の心…

書評:将基面貴巳『言論抑圧 矢内原事件の構図』中公新書、2014年。

将基面貴巳『言論抑圧 矢内原事件の構図』中公新書,読了。『中央公論』掲載の「国家の理想」が反戦的とされ辞任に追い込まれた矢内原忠雄事件は戦前日本を代表する政治弾圧の一つだ。本書は歴史を複眼的に見る「マイクロヒストリー」の手法から、言論抑圧事…

日記:【ご案内】吉野作造記念館 戦後70周年記念「大崎市岩出山出身写真家 岡本央が見てきた中国」

「親切と楽天」(牧野英一)、「人道の戦士、吉野作造」(赤松克麿)、「学者、思想家のガウンを著けた大親分」……。1933(昭和8)年の今日、吉野作造博士が逝去。その遺徳をしのびつつ、吉野作造ゆかりの催し物をご紹介します。 - 催しのご案内 吉野作造記念…

研究ノート:「内閣政治」と「民本政治」の違い

美濃部達吉といえば「天皇機関説」の問題で、ある意味では戦前日本を代表する良識といってよいですし、その憲法学の水脈は戦後日本にも受け継がれています。しかし、その「限界」というのも承知することの必要性、そして「乗り越えられた」と思われがちな「…

日記:簑田胸喜による矢内原忠雄批判

昭和初期、言論抑圧で重要な役割を果たすのが民間の右翼言論人、とりわけ簑田胸喜になりますが、「狂信的」と形容するにふさわしい言論活動で、数々の良心を屠ってきましたが、まさに「狂信的」であるが故に、その実際の研究というのがほとんどされていない…

覚え書:「河北春秋:当たり前に享受している投票権は、民主主義を追い求める闘いの末に勝ち取られている」『河北新報』2015年02月06日(金)付。

- 宮城県出身の政治学者吉野作造は、普通選挙実現の運動を推し進めた。腰の重い政府の尻をたたかんばかりの論文の数である。論拠は明快、選挙権は国民固有の権利と断じてぶれがない。1920(大正9)年の論文は語る ▼「昔は王侯が国家を領していたとして…

日記:三谷太一郎「吉野作造記念館開館20周年によせて」

吉野作造記念館様から『吉野作造記念館20年のあゆみ』(大崎市教育委員会)を頂戴しました。ありがとうございます。「吉野作造記念館開館20周年によせて」を三谷太一郎先生が寄せています。短い文章ですが吉野作造の吉野作造である所以をズバリ言及され…

吉野作造研究:〔ご案内〕吉野作造記念館 開館20周年記念式典 基調講演「晩年の吉野作造」(=三谷太一郎先生)のご案内。

〔ご案内〕吉野作造先生のお誕生日の1月29日、吉野作造記念館開館20周年記念式典開催(パレットおおさき、13時〜)。三谷太一郎先生が、基調講演(「晩年の吉野作造 −国内および国際情勢の変化への対応−」)されます。 講演会の参加には、電話での申…

吉野作造研究:〔ご案内〕吉野作造記念館 開館20周年記念企画 入館無料キャンペーン

〔ご案内〕1月29日は吉野作造先生生誕137年、そしてその日は吉野博士を顕彰する吉野作造記念館開館20周年。慶賀を祝し1月31日まで入館無料です(月曜は休館)。この機会に、お近くの方も遠方の方も是非、足を運ばれることを願います。 yoshinosak…