覚え書:「今週の本棚:『「橋下維新」は3年で終わる』=川上和久・著」、『毎日新聞』2012年11月18日(日)付。
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今週の本棚:『「橋下維新」は3年で終わる』=川上和久・著
(宝島新書・780円)
新党「日本維新の会」を率い、来月投開票の総選挙に向けた動向が注目される橋下徹・大阪市長。その名をタイトルに掲げた、示唆に富む政治と世論の分析書である。
著者の専門は政治心理学と戦略コミュニケーション論。研究対象としてきたプロパガンダや情報操作を手掛かりにして、カエサル、ナポレオン、ヒトラーという3人の名だたる独裁者と橋下氏との相違点を探る。
いずれも転換期、混乱期に人々の前に現れた「何かをやってくれそうな政治家」たち。独裁者3人の宣伝の技術は、閉塞感に覆われた現代の日本で、瞬く間に名を上げた橋下氏のやり方とも重なるという。
わかりやすい“敵”を想定する「ネーム・コーリング」をはじめ、典型的なプロパガンダの手法を駆使した巧みな世論掌握術が見えてくる。
著者によれば、強いリーダーシップを求める「ふわっとした民意(ポピュラー・センチメント)」としての世論を味方につけたところから“橋下ブーム”は始まった。「民衆に消費され」て消えてしまわないためには何が必要なのか。巻末には、橋下氏と3人の歩みを年齢で比較した表が用意されている。(井)
−−「今週の本棚:『「橋下維新」は3年で終わる』=川上和久・著」、『毎日新聞』2012年11月18日(日)付。
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