覚え書:「みんなの広場 今も忘れない鉄拳制裁の恐怖」、『毎日新聞』2013年02月16日(土)付。



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みんなの広場
今も忘れない鉄拳制裁の恐怖
自営業 67(大分県佐伯市

 50年以上前の中学生の頃の出来事が、今も忘れられずに心に残っている。男子の簿記を担当していた男性教師は、生徒の一人でも態度が悪かったり口答えをしたりすると、全員を並ばせて鉄拳制裁を加えていた。
 手が疲れてくると、教室に置いてあった大きな三角定規でたたいていた。「自分には税理士の資格があるから、辞めさせられても平気だ」が口癖だった。体が小さかった私は、彼の授業がある日は恐怖に震えていた。
 当時味わった恐怖心、悲しさ、悔しさを心の中に抱き続けていた。今もテレビや映画で暴力シーンを見ると体が硬くなり、苦々しい気持ちになる。
 暴力には絶対反対だ。その最たるものは戦争だと認識している。「皆が平和で暮らせるよう私ができることは何か」と考えるようになった。そして、人々のつらさを少しは理解できる人間に近付いてきたと感じる。
    −−「みんなの広場 今も忘れない鉄拳制裁の恐怖」、『毎日新聞』2013年02月16日(土)付。

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