書評:上林陽治『非正規公務員という問題 問われる公共サービスのあり方』岩波ブックレット、2013年。




上林陽治『非正規公務員という問題 問われる公共サービスのあり方』岩波ブックレット、読了。その陣容が無駄の象徴と指摘されるものの安定した職種というイメージの地方公務員。しかしその内実は3人に1人が非正規の職員だという。本書は、市民の日常を支える雇用現場の不安定な実態を報告する。

非正規雇用増大の背景は、地方財政の逼迫と行政サービスの増大。正規公務員を減員し、非正規で補っている。仕事内容は正規と同じ(若しくは以上)にもかかわらず、任用は1年以内でフルタイムで働いても年収200万に届かないのが殆どという。

例えば、、、
クラス担任を持ち、サッカー部の顧問ベテラン「臨時教員」。勤務経験も長く、学校から見れば安心で手放せない存在だし、生徒・保護者からすれば臨時/正規の差はない。しかし給与は正規教員の半分に満たないし、次年度任用決定は新年度が始まってから。

人が足りないことが充分な公共サービス提供を阻害し、制度自身の信頼性を損なわせている。それは、公共サービスに対する不信が、公務員の信頼喪失に連動する負のスパイラルとなっている。本書の報告はこと公務員に限定される問題ではない。









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