覚え書:「今週の本棚・新刊:『永続敗戦論 戦後日本の核心』=白井聡・著」、『毎日新聞』2013年06月23日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『永続敗戦論 戦後日本の核心』=白井聡・著
毎日新聞 2013年06月23日 東京朝刊
(太田出版・1785円)
冷戦後世代のレーニン論で注目された社会思想学者による戦後論だ。
戦後日本は、敗戦を「終戦」と言い換えるなどして、アジアに対する敗北を否認して、戦前からの意識を継続してきた。その意識を許し、支える米国には、徹底して「従属」してきた。中韓などに歴史問題で批判されると神経質に怒るが、政経安保の「対米従属」は平気。憲法を批判する勢力が、憲法を「押し付けた」米国と協調する。こうした、敗戦を否認するために従属を選ぶ思考形態を、本書は「永続敗戦」と呼ぶ。
アジア諸国の台頭などで、「永続敗戦」思考の矛盾は臨界に達しつつある。政権が歴史問題で強硬になっても、米国などの注文で沈静化する仕組みは、それこそ永続敗戦的だ。しかし、今やこの仕組みが露骨に見えすぎて、不満を露(あら)わにする人も多い。たとえば、橋下徹大阪市長の「慰安婦」発言などはそうした不満を解消できても、世界中に非難されて、再度の「敗戦」を招きかねない。
著者の専門外の話も多く、引用元などに違和感を持つ「プロ」もいるだろう。既視感のある議論も混じる。とはいえ、まさに今だからこそ読みたくなる本だ。(生)
−−「今週の本棚・新刊:『永続敗戦論 戦後日本の核心』=白井聡・著」、『毎日新聞』2013年06月23日(日)付。
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http://mainichi.jp/feature/news/20130623ddm015070048000c.html
永続敗戦論――戦後日本の核心 (atプラス叢書04)
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