覚え書:「恋歌 [著]朝井まかて」、『朝日新聞』2013年09月15日(日)付。

        • -

恋歌 [著]朝井まかて
[掲載]2013年09月15日   [ジャンル]文芸 


 気鋭の時代小説作家が、樋口一葉の師として知られる歌人、中島歌子を描いた。幕末から明治にかけて、過酷な運命の下でひたむきに生きる女たちの重厚な物語だ。
 明治後期、歌子の部屋で、教え子の三宅花圃(かほ)は紙の束を見つける。200枚をこえる紙には、「師の君」と呼ばれ、いつまでも娘のような恩師からは想像のつかない、激しい恋と壮絶な過去が記されていた。
 歌子の半生が劇的だ。水戸藩士と結ばれ、嫁いだ歌子を待っていたのは天狗(てんぐ)党の乱。賊徒の妻として捕らわれ、周りの女や子どもが次々と処刑されてゆく。歌子はなぜ手記を残したのか。なぜ歌一筋に生きたのか。絶望を前に女たちが詠む歌が心を揺さぶる。
    ◇
 講談社・1680円
    −−「恋歌 [著]朝井まかて」、『朝日新聞』2013年09月15日(日)付。

        • -












歌一筋に生きた女の劇的な半生|好書好日




Resize1530



恋歌
恋歌
posted with amazlet at 13.09.23
朝井 まかて
講談社
売り上げランキング: 3,347