書評:山崎亮『コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる』学芸出版社、2011年。

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人口減少、少子高齢化中心市街地の衰退、限界集落、森林問題、無縁社会など、社会的な課題を美と共感の力で解決する。そのために重要なのは、課題に直面している本人たちが力を合わせること。そのきっかけをつくりだすのがコミュニティデザインの仕事だと考えるようになった。
    −−山崎亮『コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる』学芸出版社、2011年、235頁。

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山崎亮『コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる』学芸出版社、読了。従来「器」の整備とされた概念だが、本書は「使われ方」や「育て方」に注目する。「モノをつくるのをやめると人が見えてきた」。10年にわたる著者の仕事を概観する中で、認識と実践を一新する。非常に面白い一冊。

そもそもコミュニティとは人と人のつながりであり、箱モノ整備やデザイナーの作品発表とイコールではない。原点に立ち返り、著者は「ひとがつながるしくみ」を作っていく。と言っても復古ではなく、新しい自生的連帯。人々が歩み寄る社会創出の見本を見る。

地縁血縁社会には限界がある。だから反動としてつながりの弱体化が招来されたといってよいが、そのままで良い訳でもない。「日本を取り戻す」してもはじまらない。その意味でコミュニティデザインとは、人々が参加する仕組みづくりでもある。

ひとびとが積極的に社会に関わりたくなること。そのきっかけづくりと選択意志を育てることがデザイナーの仕事との指摘には瞠目。協同とは外発的ではなく内発的に誕生する。現代社会を俯瞰し、未来を構想する上で本書の知見と実践は非常に有益だ。

著者インタビュー。  山崎亮さんインタビュー


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