覚え書:「今週の本棚・新刊:『ガガーリン 世界初の宇宙飛行士、伝説の裏側で』=J・ドーラン、P・ビゾニー著」、『毎日新聞』2013年10月27日(日)付。

12

        • -

今週の本棚・新刊:『ガガーリン 世界初の宇宙飛行士、伝説の裏側で』=J・ドーラン、P・ビゾニー著
毎日新聞 2013年10月27日 東京朝刊

 (河出書房新社・2520円)

 人類が初めて宇宙に出て半世紀余。お金さえあれば誰でも宇宙旅行に応募できる時代となった。その礎を築いたひとりが、世界初の宇宙飛行士ガガーリンだ。著者ドーランらは、当時の同僚やKGB関係者にインタビュー。一夜にして英雄となった男の光と闇をスリリングに描く。

 ガガーリンの伝記といえば、自伝『宇宙への道』(江川卓訳、新潮社)が知られる。だが、この“公式本”は当時のソ連政府の意向を強く反映し、宇宙船技術と体制の賛美に終始している。対して本書は、宇宙船ボストークが大気圏再突入の際、激しく回転し、ガガーリンが一時意識を失いそうになったり、カプセルのハッチが地上7キロの高度で吹き飛んだりした事実を明かす。

 そして、何よりも彼の人生と国家との関係に着目する。ソ連の宣伝塔として世界を引き回され、そのうっ憤晴らしの末に飛びおり事件を起こすガガーリン。後ろ盾のフルシチョフと設計技師長コロリョフを失い、新たな名誉を追う後継ブレジネフ体制で、同僚コマロフをソユーズ事故で失うガガーリン独裁国家のくびきにつながれた英雄の生々しい記録がここにある。=日暮雅通訳(広)
    −−「今週の本棚・新刊:『ガガーリン 世界初の宇宙飛行士、伝説の裏側で』=J・ドーラン、P・ビゾニー著」、『毎日新聞』2013年10月27日(日)付。

        • -












http://mainichi.jp/feature/news/20131027ddm015070016000c.html




Resize1669



ガガーリン ----世界初の宇宙飛行士、伝説の裏側で
ジェイミー・ドーラン ピアーズ・ビゾニー
河出書房新社
売り上げランキング: 104,514