覚え書:「みんなの広場 異なる考え受け入れる社会を」、『毎日新聞』2013年10月30日(水)付。

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みんなの広場
異なる考え受け入れる社会を
大学名誉教授 72(大分市

 大学入試改革がまた行われようとしている。ペーパーテスト重視の入試を改革することが教育を替える突破口になる可能性を否定するものではない。しかし、日本の教育で根本的な問題は、“画一的で従順”であることを良しとする考え方であろう。この精神構造を変革して、自らと異なる人、違う考え方をする人を受け入れる社会をつくることが根本的課題である。
 私は30年にわたって大学教育に携わってきたが、教員の指示に従順に従うことに疑問を感じない学生をしばしば見かけた。このような学生は、それまでに自ら個性的であろうとして挫折した経験から、あるいは自己主張をした同級生が周囲からの圧力に苦しむ姿を目にしたことから生まれたとは考えられないだろうか。
 これからの世界で日本が存在感を発揮するには他の人とは異なる発想をする多様な人材が必要である。困難ではあるが、誰もが、とりわけ教員が、自らとは異なる人の存在を認めることが不可欠であろう。
    −−「みんなの広場 異なる考え受け入れる社会を」、『毎日新聞』2013年10月30日(水)付。

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