大学論

覚え書:「憲法のある風景 公布70年の今/5止 忍び寄る『軍学共同』 日本の研究に米国防機関が食指」、『毎日新聞』2016年1月6日(木)付。

- 憲法のある風景 公布70年の今/5止 忍び寄る「軍学共同」 日本の研究に米国防機関が食指毎日新聞2016年1月6日 (写真キャプション)研究室で人工筋肉の実験装置を前に話す平井利博・信州大名誉教授。「人々の生活を豊かにしたい」との思いを持ち続ける…

日記:年度表記における「元号」と「西暦」の違い

数ある大学の卒業式のなかでも群を抜いているのが、立教大学と同志社大学の祝辞ではないかと思います。「学ぶことの意義」(立教)、「民主主義の原理」(同志社)に関してかなり踏み込んだ内容でありつつも、平易にその翠点を述べたスピーチではないかと思…

書評:将基面貴巳『言論抑圧 矢内原事件の構図』中公新書、2014年。

将基面貴巳『言論抑圧 矢内原事件の構図』中公新書,読了。『中央公論』掲載の「国家の理想」が反戦的とされ辞任に追い込まれた矢内原忠雄事件は戦前日本を代表する政治弾圧の一つだ。本書は歴史を複眼的に見る「マイクロヒストリー」の手法から、言論抑圧事…

覚え書:「引用句辞典 トレンド編 [学者・研究者の真の快楽とは] 鹿島茂」、『毎日新聞』2014年12月28日(日)付。

- 引用句辞典 トレンド編 学者・研究者の真の快楽とは 鹿島茂教育行政に求めたい 「真理追究」への導き兎に角に当時の緒方の書生は、十中の七、八、目的なしに苦学した者であるが、その目的のなかったのが却って仕合で、江戸の書生よりも能く勉強が出来たの…

覚え書:「耕論:何のための英語入試改革 多田幸雄さん、益川敏英さん」、『朝日新聞』2014年11月26日(水)付。

- 耕論:何のための英語入試改革 多田幸雄さん、益川敏英さん 2014年11月26日 大学入試の英語が大きく変わりそうだ。文部科学省は「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を測る方式にかじを切ろうとしている。この改革はいったい何のためなのか。そもそも…

日記:「池上彰と考える」……てもシカタガナイでしょうに。

ウーム、これはひどすぎじゃアございませんか? 日本分子生物学会。http://mbsj.jp/admins/committee/careerpath/doc/careerpath_poster_2014.pdf 池上彰と考える これでいいのか 日本の生命科学研究”ってふられても、池上彰と考えても、日本の生命科学研究…

覚え書:「時代の風:大学の国際化=京都大学長・山極寿一」、『毎日新聞』2014年10月12日(日)付。

- 時代の風:大学の国際化=京都大学長・山極寿一 毎日新聞 2014年10月12日 東京朝刊 ◇産業界、地域の理解必要−−山極寿一(やまぎわ・じゅいち) 今月5日から7日にかけて、京都で「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム」が開かれた。約100カ国の…

日記:何が、「スーパーグローバル大学」ですか! もうさ、国家に褒められて嬉しいとか、やめにして欲しいと切に思いますよ

過日、文科省が「スーパーグローバル大学」採択校を発表しましたが、その構想に準じたカリキュラムが、実際のところ、グローバルでも何ンでもないシロモノだから、「スーパーで買うことができるのですか?」ってフイタところ、「大学の運営方針しだいで大学…

覚え書:「時代の風:大学教育の使命=京都大教授・山極寿一」、『毎日新聞』2014年09月07日(日)付。

- 時代の風:大学教育の使命=京都大教授・山極寿一 ◇世界へ学生送り出す窓−−山極寿一(やまぎわ・じゅいち) 第26代京都大学学長の候補に推挙された。10月からその任務に就くことになる。京都大学は自学自習をモットーにし、自由の学風と創造の精神を育…

覚え書:「今週の本棚 仏教学者中村元 植木雅俊著」、『毎日新聞』2014年08月31日(日)付。

- 今週の本棚 仏教学者 中村元 植木雅俊著 角川選書・1944円 高名な仏教学者・インド哲学者の一生を、晩年の門弟という視点から描いたものである。 中村元(はじめ)は博覧強記を絵に描いたような大学者で、サンスクリット語をはじめ、パーリ語、チベッ…

日記:意識の高い、有意味な言説というドクサ

たまこさんのお世話ちう。土曜日に細君が子供を連れて実家に帰ってしまったので(とほほ、猫のたまこさんと二人ぐらしです。とはいってもほとんど家にいないので少しの時間ですし、今日はぐったりと寝ていたので、少々余裕をもって接していますがものすげえ…

書評:ベネディクト・アンダーソン(加藤剛訳)『ヤシガラ椀の外へ』NTT出版、2009年。

ベネディクト・アンダーソン(加藤剛訳)『ヤシガラ椀の外へ』NTT出版、読了。『想像の共同体』の著者が、その地域研究の軌跡を振り返りながら、学問とは何か縦横に論じた一冊。抜群に面白い。学問で重要なのは、大学の制度や母国といった「ヤシガラ椀」…

書評:ガート・ビースタ(上野正道、藤井佳世、中村(新井)清二訳)『民主主義を学習する 教育・生涯学習・シティズンシップ』勁草書房、2014年。

ガート・ビースタ(上野正道、藤井佳世、中村(新井)清二訳)『民主主義を学習する 教育・生涯学習・シティズンシップ』勁草書房、読了。「民主主義の学習とは、政治における主体化である。学校や社会でいかに民主主義を学んでいくのか、理論的・歴史的・政策…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 学歴逆詐称=山田昌弘」、『毎日新聞』2014年06月04日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 学歴逆詐称? 大学院修了者に対する偏見山田昌弘 中央大教授 先日、海外で働いている女性に話を聞いた。日本に戻るため、中途採用を募集するいくつかの日本企業に応募した。しかし、書類選考で全て落ちてしまった。もしやと思…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 進取の精神と柔軟さを=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年04月16日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 進取の精神と柔軟さを 人財開発の必須事項湯浅誠 社会活動家 4月から法政大学の教授に就任した。所属は現代福祉学部。 法政大は「自由と進歩」、現代福祉学部は「Well-Being(健康で幸せな暮らし)の実現」を理念に掲げる。…

書評:金成隆一『ルポ MOOC革命 無料オンライン授業の衝撃』岩波書店、2013年、+ 「ムーク続々、日本の大学も 講義を無料ネット配信」、『朝日新聞』2014年03月21日(金)付。

金成隆一『ルポ MOOC革命 無料オンライン授業の衝撃』岩波書店、2013年、読了。Massive Open Online Courseとは無料公開のオンライン講座の意。本書は、創設から利用者まで、現場取材でその現在をまとめたルポルタージュ。 ルポ MOOC革命 - 岩波書店名門…

日記:2013年度卒業式:最小限の変革共同体としての学友関係

- 「では、つぎにわれわれが探求して示さなければならないのは、思うに、現在もろもろの国において、われわれが述べたような統治のあり方を妨げている欠陥はそもそも何であるか、そして、ある国がそのような国制のあり方へと移行することを可能ならしめるよ…

覚え書:「『反知性主義』への警鐘 相次ぐ政治的問題発言で議論」、『朝日新聞』2014年02月19日(水)付。

- 「反知性主義」への警鐘 相次ぐ政治的問題発言で議論 2014年2月19日 「反知性主義」という言葉を使った評論が論壇で目につく。「非」知性でも「無」知でもなく「反」知性――。政治的な問題発言が続出する現状を分析・批判しようとする意図が見える。■自分に…

日記:智慧とは「人間をして、瞬間による支配から離脱せしめるもの」

- 智慧というもののもつ最も重要な要素は、それこそが、人間をして、瞬間による支配から離脱せしめるものだ、ということである。それ故に、智慧は、時代に適うものではないのである。智慧の意図することは、人間をあらゆる運命の打撃に対して直ちに確乎たる…

日記:「今読んでいるんです」とはなかなか言えず「今読み返しているのですが」……

(twのまとめですが……)先週の続きで、今日も文学について少々お話をしました。『カラマーゾフの兄弟』における「人類」の議論から、社会実践としてのスピヴァクの可能性へ示唆を飛ばし、世界文学を読むケーススタディとしてゲーテを参照しました。我ながら…

覚え書:「みんなの広場 異なる考え受け入れる社会を」、『毎日新聞』2013年10月30日(水)付。

- みんなの広場 異なる考え受け入れる社会を 大学名誉教授 72(大分市) 大学入試改革がまた行われようとしている。ペーパーテスト重視の入試を改革することが教育を替える突破口になる可能性を否定するものではない。しかし、日本の教育で根本的な問題は、“…

覚え書:「引用句辞典 トレンド編 [大学入制度改革]=鹿島茂」、『毎日新聞』2013年10月26日(土)付。

- 引用句辞典 トレンド編 鹿島茂[大学入試制度改革] 教育の本質はエロス 文科省には無理な話ソクラテスよ、人間はみな、子を宿している。これは体の場合でもあっても、心の場合であっても、同様にいえることだ。そして、時が満ちると、子をなしたくなる。…

書評:北川達夫・平田オリザ『ニッポンには対話がない』三省堂、2008年。

- 北川 相手の見解があって自分の見解がある、それが対立する、対立するとお互いが変わってくる。まさに、その変わってくるところを楽しめるか、そこを重視できるかですよね。回避をせずに、対立を恐れないでぶつかって、そのうえでお互いにどう変われるか、…

日記:人生や仕事での主要な関心は、当初のわれわれとは異なる人間になることです。

- −− あなたは、ごく頻繁に「哲学者」、のみならず、「歴史家」、「構造主義者」、「マルクス主義者」と呼ばれています。コレージュ・ド・フランスにおけるあなたの担当講座の肩書は、「思想体系の歴史の教授」です。このことの意味は何でしょう? わたしが…

書評:上山隆大ほか『大学とコスト 誰がどう支えるのか』岩波書店、2013年。

上山隆大ほか『大学とコスト 誰がどう支えるのか』岩波書店、読了。教育費は本人(とその家族)が支払うべきという風潮が根強い。しかし個人負担の考え方はどうやら世界標準とは考えにくい。本書は、日本の「大学とコスト」を巡る現状について、その歴史と政…

社会を批判的にまなざす「力」

金曜日の授業にて、哲学の講座は残り1回になりました。最初の授業から口をすっぱく言っているのですが、本来、大学での学問、なかんずく教養教育とは、例えばそれが外国語を学習するものであったとしても、何かそれは社会の要請に応えるという名の馴化とし…

書評:鳥居龍蔵『ある老学徒の手記』岩波文庫、2013年。

鳥居龍蔵『ある老学徒の手記』岩波文庫、読了。本書は小学校中退で国際的に活躍した東京帝大助教授(人類学)の自伝、1953年朝日新聞社刊行の初の文庫収録。生涯の概要は以下に詳しい(徳島県立鳥居龍蔵記念館) → http://www.torii-museum.tokushima-ec.ed.…

覚え書:「みんなの広場 『過ち繰り返さぬ』歴史の大切さ」、『毎日新聞』2013年06月01日(土)付。

- みんなの広場 「過ち繰り返さぬ」歴史の大切さ 中学生 14(西東京市) 今年は、歴史を教わる先生が去年と代わりました。去年はずっと「どうして歴史を覚えなくちゃいけないの?」と思っており、過去のことを細々と教えられても将来なんの役にもたたないと…

覚え書:「みんなの広場 本当にグローバルな人材とは」、『毎日新聞』2013年05月26日(日)付。

- みんなの広場 本当にグローバルな人材とは 大学生 21(千葉市美浜区) 最近「グローバル人材」という言葉をよく耳にする。特に就職活動を控えた大学生はこの言葉に敏感だ。「グローバル人材になるためにはまずは語学力。そのために英語を勉強しよう」と考…

覚え書:「今週の本棚:堀江敏幸・評 『S先生のこと』=尾崎俊介・著」、『毎日新聞』2013年05月12日(日)付。

- 今週の本棚:堀江敏幸・評 『S先生のこと』=尾崎俊介・著 毎日新聞 2013年05月12日 東京朝刊 (新宿書房・2520円) ◇悲しみと悔悟を映す“翻訳者の声”を慕って 学生の頃、脈絡なく読んで引き込まれた数冊のアメリカ現代文学の翻訳書を通して、私はその…