覚え書:「特定秘密保護法に言いたい:情報機関の権限、強大に=ジャーナリスト・青木理さん」、『毎日新聞』2014年02月11日(火)付。


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特定秘密保護法に言いたい:情報機関の権限、強大に
ジャーナリスト・青木理さん
毎日新聞 2014年02月11日 東京朝刊



 ◇青木理さん(47)

 特定秘密保護法の立法作業を担当した内閣情報調査室トップの「内閣情報官」は歴代、警備・公安警察の出身者で占められてきた。特定秘密保護法はテロやスパイ活動の防止を口実にすれば、あらゆる情報を秘密にでき、この法律の制定で警備・公安当局の権益は大幅に広がる。

 法律上、特定秘密を指定するのは「行政機関の長」だ。防衛省や外務省であれば政治家が担うが、治安に関する情報を扱う警察庁公安調査庁はいずれも官僚であり、外部の目に触れることなく内部だけで完結できる。この問題は、もっと広く認識されるべきだ。

 自民党石破茂幹事長はデモについて「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」とブログに書いた。特定秘密保護法の「テロリズム」の定義はあいまいなので、たとえば国会前で行われるデモ参加者を容疑者として調べたり、身元を調査したりすることも可能になる。警備・公安当局内部にこれまであった「特定の政党や団体の関係者を対象者とする」などといった歯止めさえ利かなくなる恐れがある。

 法律では、特定秘密を取り扱う人物について身辺調査(適性評価)を行うことになっている。ある警察幹部は私に「某中央省庁の局長への異動が内定した官僚について『ある政党の同調者ですよ』という情報を政府に伝えたら人事が流れた」と自慢話をした。真偽は確認できないが、情報機関の権限が強まる恐ろしさに鈍感過ぎないだろうか。【聞き手・臺宏士】=随時掲載

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 ■人物略歴

 ◇あおき・おさむ

 1966年生まれ。共同通信社会部などを経て2006年からフリーに。著書に「日本の公安警察」「誘蛾灯 鳥取連続不審死事件」など。
    −−「特定秘密保護法に言いたい:情報機関の権限、強大に=ジャーナリスト・青木理さん」、『毎日新聞』2014年02月11日(火)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140211ddm012010033000c.html



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