覚え書:「今週の本棚・新刊:『三省堂国語辞典 第七版』=見坊豪紀ほか編」、『毎日新聞』2014年02月16日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『三省堂国語辞典 第七版』=見坊豪紀ほか編
毎日新聞 2014年02月16日 東京朝刊

 (三省堂・3045円)

 三国(さんこく)の名で親しまれる小型辞典、六年ぶりの新版だ。新語など四千を増補。国語辞典は新語をどれだけ載せるか競う風潮だが、新版の真の意義は、語義の改訂だ。その点、この辞典は「厚み」がある。以下、前・第六版と比較。「かけながし」は「流れるままにしておくこと」だが、今回は「源泉掛け流し(温泉)」の意味「加水・加温をせず循環もさせない」を明記。リンゴなど果実が熟して大きくなる「たまのび(玉伸び)」の用例では、前版「たまのびが良い」の「良い」を仮名「よい」に変えた(ここまで見る人はあまりいないと思うけれど)。「やばい」の第(3)義「すばらしい」は「一九八〇年代から例があり、二十一世紀になって広まった言い方」と懇切。第六版からのことだが「よさそうだ」(さしつかえないようすだ、の意)を見出し語に。広辞苑大辞泉にもないことだ。同じく連語「わるくすると」(うまくいかないばあいは、の意)を独立させるのも、ここならでは。

 こうして旧版と見比べてみると、語釈や見出しに、独自の見方がはたらいていることに気づく。見れば見るほど魅せられる。「新版」の意義を感じとれる辞典だ。(門)
    −−「今週の本棚・新刊:『三省堂国語辞典 第七版』=見坊豪紀ほか編」、『毎日新聞』2014年02月16日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140216ddm015070005000c.html





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三省堂国語辞典 第七版

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