覚え書:「東日本大震災:震災の記憶、牧師ら絵本に 福島原発に最も近い教会『子どもに伝えたい』」、『毎日新聞』2014年03月29日(土)付(東京夕刊)。

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東日本大震災:震災の記憶、牧師ら絵本に 福島原発に最も近い教会「子どもに伝えたい」
毎日新聞 2014年03月29日 東京夕刊

(写真キャプション)(左から)佐藤彰牧師、妻ちえ子さん、佐藤涼子さん=樋口岳大撮影
(写真キャプション)絵本「くびわをはずしたパピ」で描かれた避難所の様子=自由国民社提供

 東京電力福島第1原発から約5キロにある福島第一聖書バプテスト教会福島県大熊町)の牧師らが、東日本大震災の体験を基にした絵本を出版した。「子供たちに震災の記憶を伝えたい」と、原発事故前の穏やかな暮らしや過酷な避難生活、たくさんの温かい支援などを描いている。【樋口岳大】

 絵本は「くびわをはずしたパピ パピの東日本大震災」(自由国民社、税別1400円)。子供が親しめるようにと、佐藤彰牧師(57)の愛犬パピを主人公にした。

 同教会は「福島第1原発に最も近いキリスト教会」で、信徒ら約60人は原発事故直後、福島県会津若松市山形県米沢市の教会に集団で避難した。2011年3月末から1年間は、東京都奥多摩町キリスト教のキャンプ場で地元住民らの支援を受けて共同生活を送った。

 絵本では、原発事故前の教会周辺の四季の美しさや、避難先の体育館で布団もなく身を震わせる様子、多くの人から食料や衣料品などをもらった体験などが紹介されている。

 物語の中で主人公パピは避難の旅の末に死んでしまい、天国で2匹の犬とたわむれる。この2匹は、福島県富岡町の女性信徒(72)が避難したまま帰宅できず、死んでしまった犬たちがモデルだ。「自分だけが生き残って良かったのだろうか」と思うパピを、2匹は温かく迎える。

 文は佐藤牧師と妻ちえ子さん(56)が担当した。ちえ子さんは「震災で身内を亡くした人に、『あなたが幸せになることで亡くなった方も喜ばれる』ということを伝えたかった」と話す。

 絵を描いたのは副牧師の妻の佐藤涼子さん(39)。涼子さんは避難先の寒い体育館で当時1歳だった次女を自分のおなかの上に寝かせて温めた。教会は昨年5月、福島県いわき市内に新しく建てられ、信徒らは新たなスタートを切っている。涼子さんは「体験した者だからこそ描けるものがある。次女には震災の記憶はないけれど、絵本を通して伝えていきたい」と話す。

 絵本の問い合わせは自由国民社(03・6233・0781)。 
    −−「東日本大震災:震災の記憶、牧師ら絵本に 福島原発に最も近い教会『子どもに伝えたい』」、『毎日新聞』2014年03月29日(土)付(東京夕刊)。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140329dde041040012000c.html





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