覚え書:「死刑のための殺人―土浦連続通り魔事件・死刑囚の記録 [著]読売新聞水戸支局取材班」、『朝日新聞』2014年05月11日(日)付。

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死刑のための殺人―土浦連続通り魔事件・死刑囚の記録 [著]読売新聞水戸支局取材班
[掲載]2014年05月11日   [ジャンル]社会 

 2008年3月、「死刑になりたい」と茨城県のJR荒川沖駅などで9人を殺傷し、13年2月に29歳で死刑執行された金川真大。小林泰明記者ら取材班は金川と37回も面会し、「誰でもよかった」「人を殺すことは蚊を殺すことと同じ」とうそぶき、共感も罪の意識をも拒絶する「見えない魂」の謎に迫ろうとする。一つの鍵は本書で「砂漠」と評された家族間の意思疎通のまずさ、情愛表現のとぼしさだ。上の妹は同居している母と筆談でしか話さない。それを不審に思わない父は公判で「死刑にすべき」と繰り返す。下の妹や弟も「迷惑だ」「関心はない」。後輩との面談に動揺し涙ぐむ金川を見た著者の「可哀想に」の思いがやるせない。
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 新潮社・1404円
    −−「死刑のための殺人―土浦連続通り魔事件・死刑囚の記録 [著]読売新聞水戸支局取材班」、『朝日新聞』2014年05月11日(日)付。

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「見えない魂」の謎に迫る|好書好日





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死刑のための殺人: 土浦連続通り魔事件・死刑囚の記録
読売新聞水戸支局取材班
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