覚え書:「今週の本棚・新刊:『自由への容易な道はない マンデラ初期政治論集』=ネルソン・マンデラ著」、『毎日新聞』2014年06月22日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『自由への容易な道はない マンデラ初期政治論集』=ネルソン・マンデラ著
毎日新聞 2014年06月22日 東京朝刊
(青土社・2592円)
昨年死去したネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領が、1953〜64年に記した文章を集めた。マンデラには、欧米の喜ぶ穏やかな「人権派」イメージが強い気もする。しかし実は、単なる「平和主義者」でも逆に「暴力主義者」でもなかった。広範な政治勢力の結集に努めるが無原則な妥協はせず、組織の規律を重視し、武装闘争も辞さなかった。
当時のマンデラは30代?40代。指導するアフリカ民族会議(ANC)の運動が高揚の果てに非合法化され、自身も62年から投獄された(90年釈放)。マンデラは、理想主義者でもあった。白人ではなく白人至上主義を、差別者ではなく差別を憎み、すべての住民=「アフリカ人」の国を創造しようとした。
今の同国は、格差や貧困に苦しむ。マンデラの夢はすべて実現したわけではない。それでも、優れた政治家・活動家の蓄積と対話し、私たちが「政治的」なあり方を点検する大切さを改めて感じた。そこにこそ、マンデラによる未完の「革命」が、受け継がれる道もあるはずだ。解説は、反アパルトヘイト運動史の入門としても分かりやすい。=峯陽一監訳、鈴木隆洋訳(生)
−−「今週の本棚・新刊:『自由への容易な道はない マンデラ初期政治論集』=ネルソン・マンデラ著」、『毎日新聞』2014年06月22日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20140622ddm015070069000c.html