覚え書:「今週の本棚・新刊:『モノクロームの国鉄 SINCE1965−1980』=諸河久・著」、『毎日新聞』2014年07月20日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『モノクローム国鉄 SINCE1965−1980』=諸河久・著
毎日新聞 2014年07月20日 東京朝刊

 (イカロス出版・2160円)

 鉄道写真家の著者は、1960年代の学生時代からモノクロフィルムを使って中判カメラの撮影を始めた。高度成長期、国鉄では近代化が進み蒸気機関車(SL)は減少の一途をたどる中、北海道から九州まで全国各地の「煙」を求めて行脚した。70年代半ばからは、茶色の旧型電気機関車ブルートレインなどを追う日々。富士山を背景に撮影できる東海道本線の名所、静岡県三島市の「竹倉踏切」には何度も通った。

 愛機ハッセルブラッドの中判カメラは、連写ができず一発必中。動くものを撮影するには操作性が良いとはいえないが、著者は絶妙の構図とタイミングでシャッターを切る。特に流し撮りの技術はすばらしい。

 今、SLをはじめイベント列車で復活しているが、まさに現役時代、国鉄が最も輝いていた時代の記録。当時を記録した貴重なコレクションを、最新鋭のデジタルカメラでフィルムを一枚一枚複写して画像処理した。従来のプリントでは再現できなかった暗部などモノクロ階調をより鮮明に再現。デジタルリマスター版として復刻、出版した。撮影から約半世紀を経た今、高画質の作品がよみがえる。(徳) 
    −−「今週の本棚・新刊:『モノクローム国鉄 SINCE1965−1980』=諸河久・著」、『毎日新聞』2014年07月20日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140720ddm015070020000c.html





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