覚え書:「特定秘密保護法に言いたい:国際標準に近づけよ−−国際人権法研究者・藤田早苗さん」、『毎日新聞』2014年07月28日(月)付。

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特定秘密保護法に言いたい:国際標準に近づけよ−−国際人権法研究者・藤田早苗さん
毎日新聞 2014年07月28日 東京朝刊

 英国在住で、特定秘密保護法を知ったのは閣議決定前の昨年夏ごろだった。友人がフェイスブックに書き込んだ。秋になって法案を読んだが、中身もさることながら、パブリックコメント(国民の意見公募)の期間を2週間しか設けず、政府が年内成立を見込んでいることが信じられなかった。南アフリカが同種の法律を作った時、専門家や市民の意見を聞いて2年以上審査した。市民の権利を制限する法律なのに、なぜ慎重に時間をかけないのか。

 海外でできることを考えた。ウェブに載っていた法案を友人と英訳し、国連人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者(表現の自由担当)や表現の自由に関わる英国の国際NGOに連絡した。

 国際人権規約自由権規約19条は、すべての者が「あらゆる種類の情報・考えを受け、伝える自由」の権利を持つとしている。ラ・ルー特別報告者は昨年11月、この自由権規約に基づいて、秘密保護法を「内部告発者や、秘密を報じるジャーナリストを脅かす内容を含む」と批判した。

 さらに国連人権委員会は今月24日に「秘密の定義が広くてあいまいだ」と日本政府に対し、秘密保護法への懸念を表明した。彼らは、知る権利が人権の要石だと理解している。食の安全など身近な権利も、情報公開によって正しい情報に早く接することがなければ守れない。

 日本政府は海外の忠告を受け止め、せめて施行前に法律を国際標準に近づけるべきだ。【聞き手・青島顕】

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 ■人物略歴

 ◇ふじた・さなえ

 英エセックス大人権センター研究員。同大で国際人権法学博士号を取得した。国連や欧州連合(EU)の人権担当者と親交がある。 
    −−「特定秘密保護法に言いたい:国際標準に近づけよ−−国際人権法研究者・藤田早苗さん」、『毎日新聞』2014年07月28日(月)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140728ddm004010063000c.html


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