覚え書:「今週の本棚・新刊:『星降る夜は社畜を殴れ』=高橋祐一・著」、『毎日新聞』2014年08月17日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『星降る夜は社畜を殴れ』=高橋祐一・著
毎日新聞 2014年08月17日 東京朝刊

 (角川スニーカー文庫・648円)

 従業員を使い捨てにする「ブラック企業」。話題のテーマを中高生向けの小説「ライトノベル」に落とし込んだ異色作だ。

 家庭の事情で高校を中退した17歳の立花アキトは、飲食店チェーンを展開する会社に就職。しかし待っていたのは劣悪な労働環境と、それに順応することを美徳と信じ、会社に飼われる「家畜」ならぬ「社畜(しゃちく)」となり果てた上司たち。アキトは社内の仲間とともに立ち上がり、会社に戦いを挑む。

 非正規労働者を救えない労働組合や過労死など、物語で扱われる事象はどれも現実的で、決して人ごとではない。その分「社畜という存在を過去のものにしたい」と願い、働き方の多様性を訴えて戦うアキトに共感を覚える。ライトノベル特有の類型化されたヒロインやバトルシーンなど「お約束」を盛り込みつつ、ただのエンターテインメントで終わらせまいとする著者の熱が、全編から伝わってくる。

 休みを利用してアルバイトにはげむ学生が多いこの時期。働くことの意味を考えるうえで、若い人にすすめたい。2013年のスニーカー大賞特別賞受賞作。(長) 
    −−「今週の本棚・新刊:『星降る夜は社畜を殴れ』=高橋祐一・著」、『毎日新聞』2014年08月17日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20140817ddm015070043000c.html





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