覚え書:「みんなの広場 国民馴致策でないといえるか」、『毎日新聞』2014年09月15日(月)付。

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みんなの広場
国民馴致策でないといえるか
無職 46(福島県小野町)

 地元議会を傍聴して驚いた。「女性消防隊」「少年消防隊」なるものの計画があるという。自発意思の体裁を取るが、行政区ごとに人数割りがあり、実質的強制だ。
 この田舎町が単独で発案可能な施策ではない。国からの方向付け、つまりは安倍晋三首相の唱える「女性の活用」の延長線上にあるのだろう。しかし、答弁で繰り返された「女性ならではの○○」という論法は疑問だ。消防活動に必要不可欠かつ合理的な「女性ならでは」の視点や行動など果たしてあるだろうか。
 議場を見渡すと、傍聴席を含めてすべて男性。演壇の水差しを交換する事務員のみ女性であることが非常に象徴的だ。行政の長も自身がジェンダーの問題意識を欠いた答弁をしていることに自覚的ですらない。
 既存の消防団への組み入れでないところに、かつての女子挺身隊や少国民国家総動員法を連想させられる。集団的自衛権の行使による戦時体制に向けた国民馴致策の一環でないことを願う。
    −−「みんなの広場 国民馴致策でないといえるか」、『毎日新聞』2014年09月15日(月)付。

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