覚え書:「今週の本棚・新刊:『日本霊性論』=内田樹、釈徹宗・著」、『毎日新聞』2014年10月05日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『日本霊性論』=内田樹、釈徹宗・著
毎日新聞 2014年10月05日 東京朝刊
(NHK出版新書・929円)
さまざまな社会事情についての発言でも知られる哲学者と、今、日本の仏教界でおそらく最も一般向けに分かりやすい本を書き続ける僧侶の一人による講義録と対談。東日本大震災以降、さまざまな形で問われてきた宗教性や死生観について、改めて考えさせられる一冊だ。
霊性という言葉は、かつて鈴木大拙が唱えた「日本的霊性」からきている。特定の宗教に限らず、人知、理性の外にあるものを受け止める感性とでも言えようか。内田は、教育・教師論や武道からの学び、専門である哲学者レヴィナスの顔概念などで、さまざまに霊性像をコラージュしてゆく。釈は、「日本的霊性」の解説から大拙が注目した浄土真宗の篤信者「妙好人」の紹介に話をつなぎ、現代のスピリチュアリズムにまで論を進める。特に、肥大した自我を動力としたような従来型スピリチュアリズムと違い、近年、ごく気負わず霊性へ触れようとする人が増えていると指摘し、彼らに浄土真宗などの伝統宗教をお勧めする。
話があいまいに感じられる部分もある。だが、いわば体が納得する。腑(ふ)に落ちる。そんな共振を読者に引き起こしてくれる。(生)
−−「今週の本棚・新刊:『日本霊性論』=内田樹、釈徹宗・著」、『毎日新聞』2014年10月05日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20141005ddm015070043000c.html
日本霊性論 (NHK出版新書 442)
posted with amazlet at 14.10.07