覚え書:「今週の本棚・新刊:『靖国参拝の何が問題か』=内田雅敏・著」、『毎日新聞』2014年12月07日(日)付。
-
-
-
- -
-
-
今週の本棚・新刊:『靖国参拝の何が問題か』=内田雅敏・著
毎日新聞 2014年12月07日 東京朝刊
(平凡社新書・799円)
「人権派弁護士」による靖国神社論と聞けば、「また、いつもの理屈か」と思う人もいるかもしれない。いくら事実を積み上げられても平気で無視し、逆ギレすることが「愛国的」と思う人のいるこの頃ではある。そこまで思わなくとも、どうしても以前からの人権派にハナから決して好印象ではない人が増えている印象はある。
だが、待ってほしい。著者は、強制連行された中国人労働者らと使役した日本企業の間での裁判を和解に到達させるなどの活躍をしてきた。つまり、近隣諸国との関係改善に資してきた実績がある。だからこそその説得力は、侮れない。
今回は、手に取りやすい新書の枠で、基礎知識から丁寧に説いている。遊就館に象徴される歴史観への批判、戦後の靖国の歩み、戦後知識人の慰霊感情、天皇と靖国神社など話は多岐にわたる。ドイツとの比較など、いわば定番のネタも多い。元々批判的な立場から興味がある人は、たとえば、さほど問題を知らない・興味のない身近な人とも認識を共有するのに使えそう。もちろん、靖国に肯定的な人との対話の道具に使う場面があれば、それにもいい。(生)
−−「今週の本棚・新刊:『靖国参拝の何が問題か』=内田雅敏・著」、『毎日新聞』2014年12月07日(日)付。
-
-
-
- -
-
-
http://mainichi.jp/shimen/news/20141207ddm015070050000c.html
靖国参拝の何が問題か (平凡社新書)
posted with amazlet at 14.12.10