覚え書:「今週の本棚・新刊:『オリーブの罠』=酒井順子・著」、『毎日新聞』2014年12月28日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『オリーブの罠』=酒井順子・著
毎日新聞 2014年12月28日 東京朝刊
◇『オリーブの罠(わな)』
(講談社現代新書・864円)
「オリーブ少女」という言葉に鋭く反応するのは、現在30代後半−40代の一部女性だろう。女子高生をターゲットにしたマガジンハウスの雑誌『オリーブ』(1982年創刊、2003年休刊)を愛読し、ラブリーな服に身を包む少女を指した。
同誌の影響力を、現代の視点で冷静に分析したのが本書。著者は学生時代、「マーガレット酒井」の筆名で同誌に人気コラムを持っていた。今でも「読者でした」と声をかけられる率が断然トップだという。
お金をかけずにおしゃれするパリの「リセエンヌ」を手本としながら、1980年代の誌面に登場したのは、都内の私立大付属高に私服で通う裕福な女子。矛盾があっても「ツッパリ系」女子が読む雑誌と差別化するには必然だった、と考察する。
異性にモテることを目的としない「自分磨き」を推奨された結果、結婚から離れた読者も少なからず。それが「罠」という題名につながるのだろう。かくして、『オリーブ』で育んだセンスを生かし、各界で活躍しているのが、現在の元「少女」だと指摘する。<『オリーブ』は死すともオリーブ魂は死なず>
雑誌の力を確認できる一冊。(け)
−−「今週の本棚・新刊:『オリーブの罠』=酒井順子・著」、『毎日新聞』2014年12月28日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20141228ddm015070037000c.html