覚え書:「今週の本棚・新刊:『中国社会の基層変化と日中関係の変容』=愛知大学国際中国学研究センター編」、『毎日新聞』2015年01月18日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『中国社会の基層変化と日中関係の変容』=愛知大学国際中国学研究センター編
毎日新聞 2015年01月18日 東京朝刊
(日本評論社・3240円)
愛知大は、敗戦まで中国・上海にあった学校、東亜同文書院をルーツとする。その愛知大を中心とした研究者による中国社会と日中関係についての論集だ。
中国社会の基層変化を扱う第1部と、日中関係の変わりようを論じる第2部に分かれる。第1部で語られる国内事情が、日中関係における中国側の動きの変容を生む大きな要因の一つだという問題意識に基づいて構成している。第1部は、エネルギーや資源問題、住民自治、都市部のサブカルチャーまでも取り上げる。第2部は、軍事や領土問題、歴史問題、貿易などを論題とする。
他でも単独で論じられるテーマが多いし、「中国国内の矛盾の激化や経済成長による自信、軍の強硬論が外交に影響している」との認識は、世間に広く薄くあるだろう。ただし本書は、孫文による「大アジア主義」演説や冷戦初期の日中共産党の関係から両国間の食品貿易、国際市場での両国企業の競争まで、同じ本に盛り込む。国交正常化以後の外交史に尖閣諸島問題を位置づけた論文も読み応えがある。問題相互の関係をより深めて考える入り口として、お勧めする。(生)
−−「今週の本棚・新刊:『中国社会の基層変化と日中関係の変容』=愛知大学国際中国学研究センター編」、『毎日新聞』2015年01月18日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20150118ddm015070023000c.html
中国社会の基層変化と日中関係の変容
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