覚え書:「出版:秘密保護法の下、調査報道はできるのか 取材現場の懸念、一冊に 記者ら11人が執筆」、『毎日新聞』2015年03月16日(月)付。


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出版:秘密保護法の下、調査報道はできるのか 取材現場の懸念、一冊に 記者ら11人が執筆
毎日新聞 2015年03月16日 東京朝刊

(写真キャプション)現役記者らが執筆した「戦争は秘密から始まる」の表紙

 調査報道や権力監視を目指した報道は、特定秘密保護法施行後もできるのか−−。新聞・通信各社の労働組合でつくる日本新聞労働組合連合新聞労連)は「戦争は秘密から始まる−秘密保護法でこんな記事は読めなくなる」を出版した。全国の新聞記者ら11人が、取材の活動がおびやかされる恐れについて、自らの経験を基に記している。

 昨年12月に施行された秘密保護法は、外交、防衛、テロ防止などの分野で国によって定められた「特定秘密」を厳罰によって守る構造だ。漏らした公務員らを処罰するとともに、特定秘密を不正な方法で手に入れようとした場合は民間人も処罰の対象になる。

 取材現場では、役所の中から不正を告発する内部通報者がいなくなるのではないか、と懸念の声が上がっている。記者に対しても、罰を恐れて筆を鈍らせることがないか、問われている。

 北海道新聞時代に道庁や道警の裏金作りを暴いた高知新聞高田昌幸さんは「権力側の真相に迫る努力を持続することを、本気になってやるか、どうかだ」と記者たちに奮起を促す。米軍三沢基地青森県)から出入り禁止処分を受けた経験のある東奥日報の斉藤光政さんは「屈してはいけない。臆してもいけない。したたかにならなくては」と呼びかける。

 前新聞労連委員長で京都新聞記者の日比野敏陽(としあき)さんは執筆するとともに、本の編集を担当した。「秘密保護法に対しては学者や弁護士らが問題点を発言してきたが、取材現場で影響を受ける恐れのある記者こそ発言しなくてはと考えた」と出版の動機を語る。そのうえで「マスコミ不信が根強くあるが、記者クラブ制度にあぐらをかいているわけではない。記者たちはこんなことをやっているんだと知ってほしい」と訴える。

 合同出版刊。A5判96ページ。税込み756円。問い合わせは新聞労連(03・5842・2201)。【青島顕】
    −−「出版:秘密保護法の下、調査報道はできるのか 取材現場の懸念、一冊に 記者ら11人が執筆」、『毎日新聞』2015年03月16日(月)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20150316ddm004040004000c.html



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