覚え書:「今週の本棚・新刊:『貧困の中の子ども 希望って何ですか』=下野新聞子どもの希望取材班・著」、『毎日新聞』2015年03月22日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『貧困の中の子ども 希望って何ですか』=下野新聞子どもの希望取材班・著
毎日新聞 2015年03月22日 東京朝刊

 (ポプラ新書・842円)

 日本の子どもの6人に1人が貧困にあえいでいる。とりわけ地方は深刻だ。そんな現状を栃木県の地方紙の記者3人が丹念にルポした。

 貧困とは「連鎖するもの。育ちの違いってものすごくあるでしょう」。児童養護施設で育った女性が語る。何らかの事情から親と生活できない子どもや、ひとり親家庭に育つ子どもたちが、我慢を強いられる様子が描かれていく。進学のために奨学金を借りれば、就職先が決まらなくても、返すことは決まっている。

 親たちも職を掛け持ちしてやっとやりくりしたり、通勤のための車を持ったために生活保護を受けられなかったり−−。周囲から孤立し、相談できる相手もない家庭もある。

 行政から委託を受けたNPO法人は、個人情報の「壁」のために、行政や学校から、支援する家庭の存在をなかなか教えてもらえない。

 本書は現場から聞こえる悲鳴を拾い上げるだけでなく、先進的な取り組みをしている自治体や英国の取材をして具体的な解決策を提示。そこから、かすかな希望が見えてくる。「子どもの貧困を放置することは、社会による虐待だ」。支援者の言葉が胸に響く。(青)
    −−「今週の本棚・新刊:『貧困の中の子ども 希望って何ですか』=下野新聞子どもの希望取材班・著」、『毎日新聞』2015年03月22日(日)付。

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http://mainichi.jp/shimen/news/20150322ddm015070012000c.html


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