覚え書:「今週の本棚・新刊:『心をとめて 森を歩く』=小西貴士、河邉貴子・著」、『毎日新聞』2015年03月22日(日)付。
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今週の本棚・新刊:『心をとめて 森を歩く』=小西貴士、河邉貴子・著
毎日新聞 2015年03月22日 東京朝刊
(聖公会出版・1944円)
虫食いの四つ葉のクローバー。ヤンマとオニグモの闘い、1枚だけ先に赤く染まった葉っぱ、ノハラアザミの種の坊や、息を引き取って19日目の牝鹿(めじか)に降る雪。写真で切りとった小さな自然に珠玉の言葉が添えられる。「(ボロボロでも)居てくれたり 在ったりすることが やっぱり 幸せ」「生きると死ぬるが等しくあります」。そのひとつひとつから命へのいとおしさが立ち上る。
間にはさまる文章は、子どもたちに豊かな心、感性が宿ることを教えてくれる。ブランコの下の水たまりの水で顔を洗ってみたミチコちゃん、夫を亡くして悲しむ著者に、それを癒やすための紙吹雪を贈ったカリンちゃん。エピソードには子どもという存在の奥深さがあふれている。
写真と言葉は八ケ岳の南麓(なんろく)に広がる清里高原(山梨県)をフィールドに野外保育にも取り組む森の案内人・写真家が、文は聖心女子大学で幼児教育学を専門とする教授がつづったフォト&エッセイ。
ゆっくりと小さなものに目と耳を向けると広がっている大きな世界に驚かされる。そばに置いて時々眺めているだけで、気持ちが満たされる一冊だ。(紀)
−−「今週の本棚・新刊:『心をとめて 森を歩く』=小西貴士、河邉貴子・著」、『毎日新聞』2015年03月22日(日)付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20150322ddm015070019000c.html
心をとめて 森を歩く
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