覚え書:「ひと:マドンナを歌う修道女 シスター・クリスティーナ(26)」、『朝日新聞』2015年04月07日(火)付。

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ひと
マドンナを歌う修道女
シスター・クリスティーナ(26)
Sister Cristina

 黒の修道服に十字架という姿で、イタリアのオーディション番組に登場。パワフルな声でアリシア・キーズの「ノー・ワン」を歌い上げ、拍手喝采を浴びた。ユーチューブを通じて動画が世界に広まり、一躍有名人に。3月にアルバムの日本版が発売され、初来日も果たした。
 シチリア出身。歌手を夢見た学生時代にミュージカルで修道女役を演じ、自らの人生を見つめ直したことがミラノ郊外の修道院に入るきっかけになった。祈りに没頭する毎日だったが、実習で訪れたブラジルでは歌好きの人たちが周りに多く、歌をせがまれるいちに歌いたい気持ちが再燃した。
 「テレビ出演に批判はあった。でも、神は私に才能を与え、私はそれを使うだけ」と話す。
 ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が打ち出した、外に出て人々とふれあいなさい−−との新方針にも励まされた。
 ポップスであれ、聖歌であれ、「歌うことは祈ること」と語る。例えばデビューアルバムに収録したマドンナの人気曲「ライク・ア・バージン」。不完全だった私があなたに出会って輝いたという内容の歌詞が、「私自身が神と出会ったときの気持ちにとても近かった」と話す。
 セリーヌ・ディオンの大ファン。いつか共演するのが夢だ。(史・山尾有紀恵 写真・ガブリエレ・ロペツ)
    −−「ひと:マドンナを歌う修道女 シスター・クリスティーナ(26)」、『朝日新聞』2015年04月07日(火)付。

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http://www.asahi.com/articles/DA3S11691857.html



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歌う修道女クリスティーナとは
2015年3月21日
“歌う修道女”シスター・クリスティーナとは


 イタリアのカトリック修道院に勤める現役修道女のシスター・クリスティーナ(26)が、日本デビューアルバム『シスター・クリスティーナ』を3月11日に発売。イタリアの人気オーディション番組に出演し、圧倒的な歌声と現役の修道女であることが話題となり、YouTubeの累計動画再生が1億回を突破するなど、テレビやネットなどを通じて世界的に知名度が上昇している。マドンナやウーピー・ゴールドバーグらの大絶賛するシスター・クリスティーナとはいったどんな人物なのか、その人柄に迫る。

【写真】素顔は陽気な普通の26歳!笑顔も可愛いシスター・クリスティーナ

◆修道女になることは、もちろん勇気がいるし、葛藤もあった

――クリスティーナさんはシスターになる前から、音楽が好きだったそうですね。

【クリスティーナ】 音楽が大好きで、心の中で常に歌いたいと夢見ているような普通の女の子でした。その一方で、敬虔な信者である両親から、キリスト教の価値観を小さい頃から教わっていたので、私の生活の中には音楽と信仰が自然に共存していました。でも青春時代の一時期は教会から離れていたことがありまして。一種の反抗期で「どうして信仰を持たなくてはいけないの?」と葛藤しました。その間は大好きな歌に専念して、友人たちとバンドを組んでバールや結婚式で歌ったり、生活の中心は音楽。生きていくための原動力は歌でした。

――そのまま音楽の道へ進まず、シスターになったのはなぜですか?

【クリスティーナ】 大学に行こうか進路を決めなくてはいけない年齢になったとき、教会のシスターが私の親に「ミュージカルの公演があるので、お嬢さんにどうですか?」と声をかけてくれまして。そのミュージカルの内容は教会の創設者の女性の生涯を描く物語だったんですが、人生のすべてを投げ打って神に仕え、隣人のために生きる道を選んだ彼女の人生に非常に感銘を受けました。それまで、私は常に自分のことしか考えていなかったけれど、初めて神に呼ばれたと感じて、修道女になる道を選んだんです。

――後戻りのできない信仰の道に進むことに、葛藤はなかったんですか?

【クリスティーナ】 もちろん勇気がいりましたし、葛藤も非常にありましたよ。ごく普通の女の子がそれまで持っていた将来の夢をあきらめる。つまり人生すべてがひっくり返るわけですから。

◆これほど大きな変化が自分の人生に訪れるとは想像していなかった

――シスターとして、イタリアのオーディション番組『The Voice』に出演したきっかけは?

【クリスティーナ】 私が所属する修道会の院長からの勧めで出演しました。

――緊張はしませんでした?

【クリスティーナ】 とても緊張して、ステージに上がる前は気絶しそうでした(笑)。テレビに出たことなんてなかったし、自分の出演がどういう風に受け入れられるのか不安でもあったので。しかも私はこう見えて、普段は臆病で引っ込み思案な性格なんですよ。

――そして番組で優勝し、ついに世界デビューへ。ここまでの展開は予想していました?

【クリスティーナ】 まったく! これほど大きな変化が自分の人生に訪れるとは想像していなかったし、そもそも目隠し審査に通る確信もなかったので、大きな変化に怖れすら抱くこともあります。ただ、これは私個人ではなく、私が伝えたかった想いが優勝した“メッセージの勝利”だと思っています。ですから、今でも私の目的は一切変わっていない。これは神が私に与えくれたミッションだと考えているので、内面的なことは神におまかせして、日々の務めもしているし、感謝も忘れていません。

――“歌うシスター”を批判的に見る人はいないんですか?

【クリスティーナ】 批判はどんなときもありますから。一番いい例がキリストで、迫害を受け最終的には死を迎えることになるわけですが、その教えは今あるものをそのまま守るということではありません。たとえ迫害されても、再生し復活して新たに生きていこうというのが本来の教えです。ですから私は批判があっても、神におまかせすればどうにかなると思っていて、自分が孤立しているとは思っていません。

◆日本の漫画はイタリアでも有名!日本のアニメを観るのは一般的な習慣

――日本盤ボーナストラックとして収録されている「上を向いて歩こう」のカバーも歌詞のテーマは希望。歌ってみていかがでした?

【クリスティーナ】 今まで歌ったことがない新しいジャンルの曲だったので、私にとって実験的な経験でした。でも他の曲と同じように歌詞に重点を置いて、“苦しみの中でも心に希望を持って、また上を向いて歩いていこう”というメッセージを日本のみなさんに捧げたかった。

――初来日してみて、日本の印象はどうでした?

【クリスティーナ】 本当に素晴らしい国! 細かいところまで行き届いた配慮を感じますし、何より日本のみなさんは他人に対して礼儀正しく敬意を持って接してらっしゃる。あとちょっと子どもっぽいかもしれませんが、車のハンドルや新聞の綴じ方、看板も珍しくてびっくりしました(笑)。ただ、日本の漫画はイタリアでも有名で、子どもたちが学校から帰ったら、おやつを食べながら日本のアニメを観るっていうのが一般的な習慣になっています。

――クリスティーナさんもそうでした?

【クリスティーナ】 もちろん。『セーラムーン』や『ベルサイユのバラ』、『ポケモン』とか、たくさん観ていました。日本のアニメはストーリーの展開がおもしろくて、それがイタリアでも人気のある理由だと思いますね。

――では最後に、今後も歌手活動は続けますか?

【クリスティーナ】 将来のことはわかりません。神が望めば歌い続けますし、他の方法がお望みなら、その意に従います。ただ、これは私の夢ですが、音楽を通して生きることや愛の美しさ、何より神の言葉をこれからも表現していきたい。そして私が経験した神との出逢いの素晴らしさを、みなさんにお伝えすることができたらいいなと願っています。

(文:若松正子)
    −−「歌う修道女クリスティーナとは」、『朝日新聞デジタル版』2015年3月21日(土)付。

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http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2050291.html


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