覚え書:「今週の本棚・新刊:『レジリエンスとは何か』=枝廣淳子・著」、『毎日新聞』2015年04月26日(日)付。
-
-
-
- -
-
-
今週の本棚・新刊:『レジリエンスとは何か』=枝廣淳子・著
毎日新聞 2015年04月26日 東京朝刊
(東洋経済新報社・1836円)
「レジリエンス」という言葉が最近、いろいろな分野で聞かれるようになった。本書は、この言葉の幅広さを実に分かりやすく伝えている。
レジリエンスは、もともと物理学の言葉で「復元力」「弾力性」などと訳されるが、翻訳家で東京都市大教授の著者は「しなやかな強さ」と訳す。予想外の災害やエネルギーの枯渇、精神的なストレスなどに直面したとき、どれだけ巧みに適応できるかはレジリエンスの有無にかかっていると考えると、地球の温暖化や子供の教育、地域の再生など、さまざまな分野に応用できる概念となる。
本書は、生態系保護や災害に強い地域作りなど、国内外のレジリエンスの実践例を克明に報告している。興味深いのは、豪州や米国の学校では心の強い子供を育てるためのカリキュラムがあることだ。この教育法は家庭にも応用でき、例えば、子供を叱るときに「お前は怠け者だ」と全否定するのでなく、「今日は一生懸命やらなかったね」と自己肯定感をもたせるように注意する。
レジリエンスは地産地消や里山資本主義にも通じる概念だけに、地域の未来を考えるヒントになりそうだ。(小)
−−「今週の本棚・新刊:『レジリエンスとは何か』=枝廣淳子・著」、『毎日新聞』2015年04月26日(日)付。
-
-
-
- -
-
-
http://mainichi.jp/shimen/news/20150426ddm015070043000c.html
レジリエンスとは何か: 何があっても折れないこころ、暮らし、地域、社会をつくる
posted with amazlet at 15.04.29