覚え書:「ひと:大嶋得雄さん 聖書のハンセン病表記をなくす活動を続ける牧師」、『朝日新聞』2015年05月20日(水)付。
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ひと:大嶋得雄さん 聖書のハンセン病表記をなくす活動を続ける牧師
2015年05月20日
聖書にある「らい」や「ハンセン病」の表現は誤りだと、出版社へなくすよう求めてきた。30年余の活動をこのほど本にまとめた。
元は電器会社の営業マン。英語を学ぶために通った聖書クラブでキリスト教に傾倒し、28歳で神学校に入って牧師になった。岡山県のハンセン病療養所・長島愛生園にある長島曙(あけぼの)教会への着任は1983年、42歳のときのことだ。
ある日、別の教会の説教で「らい病」がけがれや罪の象徴のように語られていた。同行していたハンセン病回復者に「私たちは罪を犯したから『らい』になったのか」と問われ、返す言葉を失った。
米国の神学校や大学で3年間、聖書の原語の意味を研究した。
問題は旧約聖書レビ記などに登場するヘブライ語「ツァラアト」の訳され方だった。ツァラアトは表面が損なわれたものを指す言葉で、レビ記には衣服や壁にも現れると書いてある。これがギリシャ語版で皮膚病も意味する「レプラ」に置き換わり、やがて日本語版で「らい」と訳された。
「重い皮膚病」「かび」と訳す聖書もあるが、「ツァラアト」のままで注釈を付ける方法を出版社に求め、応じる社もでている。
5年がかりで作った本は「聖書のらいに取組んで」。1千部を自費出版し、キリスト教系学校や図書館に贈る。「ハンセン病者が被った理不尽な汚名をそそげれば」
(文・阿部治樹 写真・林敏行)
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おおしまうるお(74歳)
−−「ひと:大嶋得雄さん 聖書のハンセン病表記をなくす活動を続ける牧師」、『朝日新聞』2015年05月20日(水)付。
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http://www.asahi.com/articles/DA3S11762955.html