覚え書:「今週の本棚・新刊:『政の言葉から読み解く戦後70年』=宇治敏彦・著」、『毎日新聞』2015年07月19日(日)付。

Resize3130_2

        • -

今週の本棚・新刊:『政の言葉から読み解く戦後70年』=宇治敏彦・著
毎日新聞 2015年07月19日 東京朝刊

 『政(まつりごと)の言葉から読み解く戦後70年』(新評論・3024円)

 「一億総懺悔(ざんげ)」から「集団的自衛権」まで。「流行語」を紹介しつつ、戦後日本を概観する。異説も含め、流行語の生まれた経緯やそれに対する当時の国民の受けとめ方なども分かりやすく記述する。

 著者は新聞記者として主に政治・経済畑を歩み、論説主幹、東京新聞代表などを経て、現在、中日新聞社相談役。その時々のニュースにどう接し、何を考えたのか。政治家を取材したときの思い出や同僚、同業者、著名人らとのやりとりなど、著者自身の体験談が、本書の魅力の一つになっている。

 最大の読みどころは、戦後100年に向けた著者の提言だろう。これに最後の1章を充てる。著者は「『戦後』はやはり残すべきだ。この二字が使われなくなるということは、新しい戦争がはじまる(はじまっている)からだ」と言う。また、韓国人をたたくヘイトスピーチ(憎悪表現)や「反中・嫌中」行動につながる「狭隘(きょうあい)なナショナリズム」に陥らないよう「『半内半外』の視点をもて」、「戦争だけはやるべきでない。戦争がはじまったら正論は通らない」。日本の未来を担う若者への真摯(しんし)な思いがあふれる。(な)
    −−「今週の本棚・新刊:『政の言葉から読み解く戦後70年』=宇治敏彦・著」、『毎日新聞』2015年07月19日(日)付。

        • -





http://mainichi.jp/shimen/news/20150719ddm015070027000c.html








Resize3130



政の言葉から読み解く戦後70年: 歴史から日本の未来が見える
宇治 −彦
新評論
売り上げランキング: 38,498