覚え書:「ひと:佐竹直子さん 戦前の教員逮捕事件を現代に問う」、『朝日新聞』2015年08月18日(火)付。

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ひと:佐竹直子さん 戦前の教員逮捕事件を現代に問う
2015年8月18日

 戦前から戦中にかけ、貧困などを作文に率直に書かせたことが「階級意識の醸成」にあたるとして、多くの教員が治安維持法違反容疑で逮捕された。最大規模だったのが「北海道綴方(つづりかた)教育連盟事件」。50人以上が巻き込まれた。

 その全体像を克明に追った「獄中メモは問う/作文教育が罪にされた時代」を出版し、今月15日、日本ジャーナリスト会議のJCJ賞を受けた。授賞理由は「教育への国家介入が強まる現代との相似性からも高く評価できる力作」。

 北海道新聞の子会社に勤め、夕刊釧路根室版の特集記事を担当している。2年前、「終戦日」企画を取材中、札幌で、薄い紙16枚の両面を小さな字がびっしりと埋め尽くしたメモに出あった。警察による暴力的な取り調べの様子が書かれていた。「命がけの記録だ」と直感。3カ月かけて解読し、筆者を割り出した。自分の住む釧路市内の刑務所で書かれていた。

 遺族ら約80人を全国に訪ね歩き、資料をロッカー二つ分集めた。貧しさを記した子どもの作文を読んでは泣き、夫を連行された妻の日記を読んでは泣いた。1年半ほとんど休まず本を書き上げた。「泣き虫直子の根性本です」

 戦前への関心が高まるなか、全国を講演して歩く。「この本の内容は亡くなった先生たちから託されたもの。全国の人に、読んで何が起きたかを知ってもらいたい」

 (文・写真 林美子)

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 さたけなおこ(49歳)
    −−「ひと:佐竹直子さん 戦前の教員逮捕事件を現代に問う」、『朝日新聞』2015年08月18日(火)付。

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http://www.asahi.com/articles/DA3S11919613.html





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