覚え書:「Yの木 [著]辻原登」、『朝日新聞』2015年09月27日(日)付。

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Yの木 [著]辻原登
[掲載]2015年09月27日   [ジャンル]文芸 
 
 「たそがれ」「首飾り」「シンビン」の3短編と、中編の表題作を収録。犬を散歩させる道で、「Y」の字のように二股に分かれた木を見つけてから、「彼」の思念はこの木を離れない。「彼」は和歌山県南部に生まれた団塊の世代で、ひそかに小説家を目指し、遅いデビューを果たすのだが、後が続かない。実在の人物である大瀬東二の作品とカミュ小島信夫の作品の関係などが語られ、『羊をめぐる冒険』に「やれやれ」と小さなため息をつく。大瀬との付き合いと自殺、妻の急死、自身の文学の不如意などもろもろが、連続する「Y」の字を行きつ戻りつするように織り出されて、「Y」の木の下で喜劇的瞬間を迎える。妙な現実味が怪しい。
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文芸春秋・1404円
    −−「Yの木 [著]辻原登」、『朝日新聞』2015年09月27日(日)付。

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妙な現実味が怪しい|好書好日



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辻原 登
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