覚え書：「今週の本棚・新刊：『秘島図鑑』＝清水浩史・著」、『毎日新聞』2015年10月04日（日）付。
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今週の本棚・新刊：『秘島図鑑』＝清水浩史・著
毎日新聞 2015年10月04日 東京朝刊
（河出書房新社・１７２８円）
日本にある約７０００の島々のうち、住民がいない、船便などの交通手段がないといった条件を満たすものを、著者は「秘島」と定義し、その３０ほどを紹介する。
戦前はリン鉱石の採掘でにぎわい、戦後は在日米軍の射爆撃場となった沖縄県の沖大東島。面積はわずか０・０３平方キロながら、１３６メートルもの高さを絶海に誇る東京都の須美寿島。どの島も、その数奇な歴史や過酷な自然環境に、思わず息をのむ。同時に、これほど多くの秘島が、日本に存在していることに驚く。島国の奥深さにふれられる一冊だ。
本書では、島々の紹介とともに「実践編」として、漂着物を調べる、近くを通る航路から島影を見るなど、物理的には近づけない秘島を、身近に感じる方法がいくつか提示されている。あとがきで、著者はそういった行為を「秘島旅」と名付け、遠く思いをはせることで、せわしない日常の中、忘れがちなものが見えてくると説く。
近年、資源や領有権などをめぐり、かつてないほど島々に注目が集まっている。その多くは、秘島だ。こんなときこそ、秘島旅が必要なのかもしれない。（長）
−−「今週の本棚・新刊：『秘島図鑑』＝清水浩史・著」、『毎日新聞』2015年10月04日（日）付。
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http://mainichi.jp/shimen/news/20151004ddm015070028000c.html
