日記:「盆栽型」教育と「栽培型」教育

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「盆栽型」教育と「栽培型」教育
 折原浩東京大学名誉教授の教えに従いながら分類すると、教育は「盆栽型」教育と「栽培型」教育とに分類することができる。「盆栽型」教育とは、外から圧力を加えて変形していく教育である。つまり、自然には曲がらないにもかかわらず、針金で外から圧力を加えて枝を曲げて、「盆栽」を作成するように、「鋳型」にはめるように教育することである。
 「栽培型」教育とは植物を栽培するように、枝を伸びたいように伸ばしていく教育である。つまり、「栽培型」では人間が成長したいように成長できるようにするために、肥料を施したり、害虫を駆除したりすることが教育の役割となる。
 工業社会の教育が「盆栽型」教育だったとすれば、知識社会では「栽培型」教育へと転換しなければならない。というのも、人間の多様な能力の開花が要求されるからである。
 知識社会では、人間は「学びの人」となる。しかし、それは経済システムを発展させるからではない。そもそも人間は自己改革の主体であり、人間は「学びの人」なのである。
 「学ぶ」ということは、人間が「生きる」ということと同義だといってもよい。しかも、教育とは「学び合う」過程であることを忘れてはならない。つまり、「仲間」と学び合いながら、自己変革を遂げていく過程である。もちろん、人間は相互に自己変革を遂げ、社会を変革して、人間の歴史を発展させていく。「人間国家」とは、こうした「学びの社会」が開花していくことなのである。
    −−神野直彦『「人間国家」への変革 参加保障型の福祉社会をつくる』NHK出版、2015年、98−99頁。

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