覚え書:「今週の本棚・新刊 『仕事のエッセンス 「はたらく」ことで自由になる』=西きょうじ著」、『毎日新聞』2016年01月17日(日)付。

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今週の本棚・新刊
『仕事のエッセンス 「はたらく」ことで自由になる』=西きょうじ

毎日新聞2016年1月17日 東京朝刊
 
 (毎日新聞出版・1458円)

 カリスマ予備校講師が書いた斬新な「仕事論」。そんなふうに紹介すると、どうしたら自分に合った「いい仕事」に就けるかという“ハウツー本”のイメージを持たれるかもしれない。しかし本書は、人間にとっての「仕事」の正体を根本的に捉え直す社会・経済書である。

 著者は、ホモ・サピエンスの進化の過程から利他的な本能が人間に刻印されており、「働く」という言葉の本質的な意味を「はた」を「らく」にする(周囲の人の生存を容易にする助けをする)ことと解釈する。このように考えると、家事労働も賃金を生みはしないが、「はたをらくにする」継続的に行われる営みとして一つの「仕事」であるといえる。

 現代社会におけるさまざまな労働環境・働き方の実例を丁寧に分析している点も注目だ。ロボットの進化によってますます人間の仕事が奪われていく厳しい現実を直視することを読者に迫る一方、市場が拡大するクラウドソーシングの活用など、企業に依存しない「あたらしい働き方」の可能性を積極的に紹介している。就職を控えた学生、目の前の職場環境に疑問を抱く若い社会人にも、ぜひ一読をすすめたい。(和)
    −−「今週の本棚・新刊 『仕事のエッセンス 「はたらく」ことで自由になる』=西きょうじ著」、『毎日新聞』2016年01月17日(日)付。

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