覚え書:「愛のようだ [著]長嶋有」、『朝日新聞』2016年01月17日(日)付。
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愛のようだ [著]長嶋有
[掲載]2016年01月17日 [ジャンル]文芸
不器用で繊細な恋愛小説だ。中年になって運転免許を取得したフリーライターの戸倉が、友人の恋人でがんを患う琴美に対して「いきなり生じた変な気持ち」に戸惑う。
物語の舞台のほとんどは、友人や仕事仲間を乗せて遠方に向かう車中。追い抜かれたバイクの美女の話で盛り上がるなど、たわいない会話のやりとりが、それぞれの人生の一場面を鮮やかに浮かび上がらせる。誰に対しても目の前の態度を「面白く受け止めてきただけ」だった戸倉は、同乗者に起こるある出来事を機に、琴美への思いを自覚していく。
物語を彩る車内のBGMも魅力的。終盤、大きな喪失を表現する意外な曲には胸を締め付けられた。(リトルモア・1296円)
−−「愛のようだ [著]長嶋有」、『朝日新聞』2016年01月17日(日)付。
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http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2016011700007.html