覚え書:「今週の本棚・新刊 『世界の電気料金を比べてみたら 電力小売自由化研究ノート』=一般社団法人 海外電力調査会・編」、『毎日新聞』2016年4月10日(日)付。

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今週の本棚・新刊
『世界の電気料金を比べてみたら 電力小売自由化研究ノート』=一般社団法人 海外電力調査会・編

毎日新聞2016年4月10日 東京朝刊

 (日本電気協会新聞部・1296円)

 電力事業は公益事業である。公益事業は本来政府が行うもので、それを民間企業に委託している。これが、行政法が教えるところであり、政府規制の根拠がここにある。

 また経済学の公益事業論では、地域独占ゆえに、政府が公共のために規制をすると教えている。

 こうした学問への挑戦が、電力事業の自由化であり、日本でも四月から小売の全面自由化が始まった。

 この本は、その先行事例として、米、欧、オーストラリア、ニュージーランドについて調査したもので、現実がわかる良書である。

 一九八○年代に、レーガンサッチャーのもとでおこった新自由主義の流れは、イギリスの電力事業を大きく変え、国有から民営、そして主要企業が、独、仏、スペインの企業の傘下に入るものとなった。

 自由化が進んでいるドイツでは大口需要者が仏の企業に流れ、太陽光、風力発電が電力価格をおし上げ、前途多難を思わせている。仏は、国有電力会社が大半を押さえている。

 注目すべきはアメリカで、五〇州中、非自由化の州が二六州、部分自由化が六州、自由化をやめたのが五州、自由化は万全ではない。(鷺)
    −−「今週の本棚・新刊 『世界の電気料金を比べてみたら 電力小売自由化研究ノート』=一般社団法人 海外電力調査会・編」、『毎日新聞』2016年4月10日(日)付。

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